地球接近小惑星 2018 EZ2に高速自転を検出
(2018年3月28日 日本スペースガード協会)

美星スペースガードセンターにて、地球接近小惑星 2018 EZ2の高速自転の検出に成功しました。


JAXA宇宙科学研究所とJSGA(日本スペースガード協会)の研究者グループは美星スペースガードセンター(注1)において、日本時間2018年3月13日に地球接近小惑星2018 EZ2のライトカーブ(注2)の観測を実施し、この小惑星がわずか172秒で高速自転していることを突き止めました。また、この小惑星の形状は、軸比が1.7:1.0の細長いものと推定されます。この小惑星はJAXA研究開発部門がオーストラリア、サイディング・スプリング観測所で日本時間3月12日19時05分頃に発見した小惑星です。発見直後の小惑星が明るくなるタイミングで観測を行うことで、これほど高速で自転する小惑星の検出に成功しました。米国のジェット推進研究所(JPL)によると、この小惑星は、日本時間3月14日11時41分頃に地球に約21万km(月軌道の内側)まで接近しました。推定される直径は約20mで、2013年にロシアに落下して大きな被害をだしたチェリャビンスク隕石とほぼ同じ大きさになります。この小惑星は高速自転が生み出す遠心力に耐えることができる、強い内部構造をしています。今回の観測結果は、地球に近づく小惑星の物理状態を明らかにする手がかりとなります。

図1:美星スペースガードセンターにて日本時間2018年3月13日23時45分から10秒露出で連続撮像した6枚の画像を合成したもの。赤い円で囲まれている天体が2018 EZ2。視野はおよそ40'×60'。画像の上が北、左が東。


図2:小惑星2018 EZ2の自転に伴う光度変化。横軸は1周期(約172秒)に対応。小惑星は形がいびつであるため、自転に伴い太陽光を反射する面積が変化する。この周期的な光度変化を測定することで自転周期や小惑星の形状が推定できる。

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図3:美星スペースガードセンターにて日本時間2018年3月13日の22時9分42.121秒から11分52.832秒まで6秒露出で撮影した5枚の画像をアニメーションにしたもの。画像の上が南、左が東

注1:美星スペースガードセンター:国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、一般財団法人日本宇宙フォーラム(JSF)、特定非営利活動法人日本スペースガード協会(JSGA)が共同運用している観測所。主に、スペースデブリと太陽系小天体の観測を行っている。
注2:ライトカーブとは小惑星の明るさの時間変化のデータのことで、ライトカーブが取得できると自転周期や形状などを推定することができる。


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