日本スペースガード協会

小惑星 2002 MN、地球に12万kmまで接近!

2002.07.25

 2002年6月14日、ちょうどサッカーのワールドカップの開催期間中 のことですが、宇宙ではちょっとヒヤリとする事件が起こっていまし た。それは、直径100mほどの小惑星が、地球から約12万kmという距離 のところを人知れず通過していったという「事件」です。この距離は、 静止衛星がある高度(3万6千km)の3倍ちょっとという至近距離でした。

 接近した小惑星は、2002 MNという仮符号が付いたもので、LINEAR プロジェクトによって、2002年6月17日に発見されたものです。 この小惑星が最接近したのは6/14ですから、最接近の後に発見された ことになります。つまり、事前には接近が分かっていなかったのです。 接近の前に発見されなかった理由は、この小惑星が昼間の側から地球に 接近したためで、事前には観測ができませんでした。最接近の後は 夜側に移動しますから、観測されたわけです。

 今まで観測された中で最も接近したものは、1994年の1994 XM1 で、接近距離は10万5千kmでした。今回の接近はこれに次ぐもので すが、1994 XM1は大きさが10m程度と推定されるのに対して、 今回接近した2002 MNは大きさが100m程度とかなり大きくなって います。

 1908年に「ツングースカ大爆発」というものがシベリアで起こりま した。この時は、2000平方kmにもわたる森林がなぎ倒されたといい ますが、この爆発をもたらしたものは直径が70mくらいの天体だった という説が有力です。仮に2002 MNが地球に衝突していたとすると、 ツングースカ大爆発の再来となったかもしれません。


参考1

(表1)2002年になってからの小惑星の地球接近
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接近距離      接近日時       仮符号     絶対等級
 (万km)       (世界時)
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  83      2002 Jan.  7.32    2001 YB5     20.2
  98      2002 Feb.  5.47    2002 CA26    27.3
  48      2002 Feb.  8.80    2002 CB26    26.9
  47      2002 Mar.  8.04    2002 EM7     24.4
  42      2002 Mar. 31.15    2002 GQ      26.3
 123      2002 Apr.  6.16    2002 FD6     22.0
  12      2002 June 14.09    2002 MN      23.4
  54      2002 Aug. 18.96    2002 NY40    18.9
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(接近日時順)
国際天文学連合(IAU)のMinor Planet Center (MPC)のホーム ページ(http://cfa-www.harvard.edu/cfa/ps/mpc.html)に掲載 されているデータより改編(2002年7月20日現在)。接近日時の データの日の小数部分は、時刻を換算したもの。なお、絶対等級 は、小惑星に定義されるもので、恒星に定義されるものとは異な る。この絶対等級の値により大雑把に小惑星の大きさが推定でき る。例えば、絶対等級が20等では直径は400m程度、23等で約100m、 26等で約30m、29等で7m程度である。ただし、小惑星表面の光の 反射率にも依存するので、これらの値はおおよその目安である。

(表2)小惑星のニアミスベスト10
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接近距離      接近日時       仮符号     絶対等級
 (万km)       (世界時)
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  10.5    1994 Dec.  9.8     1994 XM1     28.0
  12      2002 June 14.09    2002 MN      23.4
  15      1993 May  20.9     1993 KA2     29.0
  16      1994 Mar. 15.7     1994 ES1     28.5
  16      1991 Jan. 18.7     1991 BA      28.5
  31      2001 Jan. 15.85    2001 BA16    25.8
  42      2002 Mar. 31.15    2002 GQ      26.3
  43      1995 Mar. 27.2     1995 FF      26.5
  45      1996 May  19.69    1996 JA1     20.5
  46      1991 Dec.  5.39    1991 VG      28.8
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(接近距離順)
表1と同様にIAUのMPCのホームページのデータより。 小惑星の絶対等級と大きさについては、表1の解説を参照。
参考2
(2002.08.13)

図1:地球と2002 MNとの距離変化の様子
横軸が時間(西暦)で、縦軸が地球と小惑星との距離である。 2002年の半ば頃に距離が0に近づいているが、これが6月14日の接近である。 縦軸の単位が天文単位(1天文単位は1億5千万km)なので6月14日には 距離が0のように見えるが、実際の距離は12万kmである。




図2:2002 MNが地球に接近したときの様子(黄道面に投影)
軌道を黄道面に投影した図である。中心の○に+を重ねて描いたものが地球 である(ただし、その大きさは正確でない)。地球を通る線が地球の軌道で、 この図では地球は左から右に動く。 *印が付いた軌道が小惑星の軌道であり、*印は0.1日(2.4時間)おきの 小惑星の位置を示している。 なお、小惑星軌道上の○は最接近時の小惑星の位置である。 また、円軌道は月の軌道を示している(●が月の位置)。 地球からでている点線は太陽の方向を示す。




図3:2002 MNが地球に接近したときの様子(黄道面に垂直な面に投影)
図2と同様であるが、黄道面に垂直な面に投影したもの。 小惑星は、地球の北極に近い方向を通過したことが分かる。




図4:小惑星2002 MNの軌道
左側が黄道面に投影した図で、右側が黄道面に垂直な面に投影したもの。