日本スペースガード協会

小惑星2002 NT7の2019年の地球衝突について


2002.08.13

小惑星2002 NT7の軌道についての詳細はこちら
2002.08.01

アメリカのジェット推進研究所(JPL)の発表によりますと、下記の ニュースにある小惑星2002 NT7ですが、今後100年間はその地球衝突 の可能性は無いということです。
2002.07.25

7月23日くらいから、2019年に小惑星が地球に衝突する可能性がある というニュースが流れています。

話題になっています小惑星は、2002 NT7という仮符号が付いた小惑星で、 2002年7月9日にLINEARプロジェクトによって発見されました。発見時の 等級は18等ほどですが、その絶対等級は16.3等に相当するということで す。この絶対等級を大きさに換算すると、直径が約2kmとなります。

軌道計算によると、この小惑星が2019年2月1日に地球に衝突する可能性 がある、ということです。その衝突確率は、JPL(ジェット推進研究所) によると20万分の1程度ということです。確率は0ではないですが、特に 今すぐ心配する必要はありません。また、発見されてから2週間程度しか 経っていないので、その軌道決定精度はまだ悪いものと思われます。で すから、今後の新たな観測が加わったり、過去の天体写真に写っている のが発見されたりすると、軌道決定精度が一気に向上して、結局は衝突 確率が0となることが最もありそうなケースです。(今までも同様な話 が何回かありましたが、すべてそうでした。)

なお、このような比較的大きなNEOが今まで発見されていなかった理由 ですが、この小惑星の軌道傾斜角が42度ほどと大きいので、発見され にくかったものと思われます。まだ、このようなNEOが発見されずに残 っているものと思われます。

今回の天体は、直径が2kmとかなり大きいので少し話題となるかもしれ ませんが、しばらく様子を見る必要があると思います。 ちなみに、このような天体衝突に関するアナウンスは、国際天文学連合 (IAU)のワーキンググループのレビューを経てから発表される取り決 めになっているのですが、今回は、そのようなレビューなしにニュース が広まってしまったようです。

参考1:いずれも英文ですが、以下のところに関係する情報があります。

http://neo.jpl.nasa.gov/
http://newton.dm.unipi.it/cgi-bin/neodys/neoibo?objects:2002NT7;risk
http://www.cnn.com/2002/TECH/space/07/24/asteroid.encounter.ap/index.html
http://www.space.com/news/astronotes-1.html

参考2:

(表1)2002年になってからの小惑星の地球接近
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接近距離      接近日時       仮符号     絶対等級
 (万km)       (世界時)
-------------------------------------------------
  83      2002 Jan.  7.32    2001 YB5     20.2
  98      2002 Feb.  5.47    2002 CA26    27.3
  48      2002 Feb.  8.80    2002 CB26    26.9
  47      2002 Mar.  8.04    2002 EM7     24.4
  42      2002 Mar. 31.15    2002 GQ      26.3
 123      2002 Apr.  6.16    2002 FD6     22.0
  12      2002 June 14.09    2002 MN      23.4
  54      2002 Aug. 18.96    2002 NY40    18.9
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(接近日時順)
国際天文学連合(IAU)のMinor Planet Center (MPC)のホーム ページ(http://cfa-www.harvard.edu/cfa/ps/mpc.html)に掲載 されているデータより改編(2002年7月20日現在)。接近日時の データの日の小数部分は、時刻を換算したもの。なお、絶対等級 は、小惑星に定義されるもので、恒星に定義されるものとは異な る。この絶対等級の値により大雑把に小惑星の大きさが推定でき る。例えば、絶対等級が20等では直径は400m程度、23等で約100m、 26等で約30m、29等で7m程度である。ただし、小惑星表面の光の 反射率にも依存するので、これらの値はおおよその目安である。

(表2)小惑星のニアミスベスト10
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接近距離      接近日時       仮符号     絶対等級
 (万km)       (世界時)
-------------------------------------------------
  10.5    1994 Dec.  9.8     1994 XM1     28.0
  12      2002 June 14.09    2002 MN      23.4
  15      1993 May  20.9     1993 KA2     29.0
  16      1994 Mar. 15.7     1994 ES1     28.5
  16      1991 Jan. 18.7     1991 BA      28.5
  31      2001 Jan. 15.85    2001 BA16    25.8
  42      2002 Mar. 31.15    2002 GQ      26.3
  43      1995 Mar. 27.2     1995 FF      26.5
  45      1996 May  19.69    1996 JA1     20.5
  46      1991 Dec.  5.39    1991 VG      28.8
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(接近距離順)
表1と同様にIAUのMPCのホームページのデータより。 小惑星の絶対等級と大きさについては、表1の解説を参照。