美星スペースガードセンターからの報告

1m望遠鏡完成間近
磯部 秀三(日本スペースガード協会理事長)



 美星スペースガードセンターでの観測は始まっている。しかし、その主力となるべき1m望遠鏡はまだ完成していなかったのである。世界で初めてのCCD受光器を用いた広視野(直径3度)望遠鏡のため、その完成にまで至らなかった。メーカーは2000年度には完成すると言って契約をしようとしたが、このプロジェクトの難しさを実感している磯部が説得して2001年度に最終調整の予算を組み込んでいた。結果的には製造が遅れ、磯部の予想通りの展開になり、この予算項目があったので、会計上の問題を残さずにすんでいる。

 より早い完成を願っていたが、毎秒2.5度の追尾速度、広視補正レンズ、モザイクCCDカメラの上下50ミクロン以下という平面度の達成など、各種の難問をクリアするために、各種の作業が繰り返さざるを得ず、不幸にも磯部の予想が当たってしまった。しかし、作業も進み、ようやくその姿を現してきた。2月末の2000年度検収、及び5月の訪問により、完成の目処が立ってきた。

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写真1. 屋外テストの準備をした1m望遠鏡(磯部と吉川)
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写真2. 窓付きの状態のモザイクCCDカメラ

 写真1は、製造テストのため、5月18日にアイオワ州のトーラス社の工場駐車場に1m望遠鏡を設置した時のもので、望遠鏡の駆動テストを行った。美星スペースガードセンターとは緯度が異なるので、いわゆる極軸が狂った状態で、正確な星像テスト及び追尾テストは行えなかったが、美星へ持ってきた時には十分な性能を出すであろうと期待される。

 写真2は、モザイクCCDカメラである。望遠鏡への取り付けフランジは、50cmもある大きなもので、CCD素子のある真空槽と分離するための窓の大きさは20cmにもなっている。写真3は、2k×4kの素子を持つCCDチップが10枚取り付けられる板で、窓の部分を取り外したところである。これによりモザイクCCDの四隅の部分にまで星の光が達する。しかし、実際の視野(3度)は162mmしかないので、その外側の星像には主鏡からの光の一部が影になっていて完全ではない。これらの写真は5月10日に撮られたもので、この原稿を書いている6月末の段階では全ての装置が組み立てられ、電気的なテストが繰り返されている。

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CCD素子取り付けパネルを露出したモザイクCCDカメラ

 7月頃までに望遠鏡メーカー、CCDカメラメーカー内でのチェックが終わり、両者の組み合わせテストの完了後、7・8月には日本へ輸入される。日本スペースガード協会待望の1m望遠鏡が稼働し始めるのはもうすぐである。これまでの観測ではポツポツ得られたデータが一挙に何十倍にもなり、新発見のラッシュになると期待される。後一息、1m望遠鏡の完成を目指したい。
 次号では、すばる望遠鏡の主焦点カメラと同じ8000万画素のモザイクCCDカメラの画像をお見せしたいと思う。