美星スペースガードセンターからの報告

美星スペースガードセンターにおける観測
磯部 秀三(日本スペースガード協会理事長)



 美星スペースガードセンターに50cm望遠鏡が導入されたのは、2000年1月であった。そしてほぼ同時に25cm望遠鏡も設置された。科学技術庁(当時)の補助金で日本宇宙フォーラムによって建設されたが、センターの運用費は宇宙開発事業団によって出されている。日本スペースガード協会は建設段階では法人ではなかったので、磯部、吉川、中野等が日本宇宙フォーラムの下に技術的な指導をメーカーにしながら進められた。しかし1999年11月より協会が特別非営利活動法人になったので、運用受託をすることが可能になり、2000年4月から正式な契約をして、運用観測を行っている。

 観測は、2000年2月から始まっている(2000年2月3月は日本宇宙フォーラムからの出張として行った)。そして、すでに報告してきたようなGM5(ひまわり)衛星の周りのGORIZONTの存在の発見、地球近傍小惑星では2番目に大きい(5?10km)小惑星2000UV13の発見など
をしてきた。このようなトピック的なものばかりではなく、地道な観測を継続的に続けてきている。スペースデブリと小惑星の観測回数の月別分布が図1,図2に示されている。図1を見ると、2000年2月,3月,4月はテスト観測が多く、望遠鏡を空の適当な方向に向けて、どれ位暗い星が写るかなどを調べた。

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図1.スペースデブリ観測数の月々の変化
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図2.スペースデブリの観測等級に対する検出個数

 5月と12月に観測回数が減っているのは、望遠鏡システム改良やCCDカメラの交換等のため、観測を中断したためである。6月と7月は、当然、梅雨のために観測ができなかったことを示している。

 スペースデブリの観測は、目下のところ、既知のものが多くなっている。これは、将来1m望遠鏡が導入されたシステマティックな掃索観測が行われた時に、新しく検出されたスペースデブリの軌道決定を効率的に行う観測方法を見つけるために行われている。

 小惑星観測ではまだ十分には新小惑星の掃天観測を行っていない。それは、望遠鏡の口径が十分な大きさででないことも一つの要因である。

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写真1. 2枚の素子を持つモザイクCCDカメラを
取り付けた50cm望遠鏡で撮影した画像

 図3,図4は、それぞれスペースデブリと小惑星の観測等級分布である。スペースデブリの観測では、10秒露出が主体であるので、14等級程度のものが多く受かっている。限界では、17等級位まで捉えられている。一方、小惑星は17等級で、限界としては18.5等級である。望遠鏡の本来の性能からすると、まだ1等級位悪いので、もう一息システム改良をする必要がある。何れにしても、この1年余りの間に表1のように総数11,686回の観測がなされた。これは、4人の観測者が毎夜2人ずつ365日望遠鏡を動かす態勢であったので実現したものである。2001年1月1日から5人体制になったので、若干、観測者の負担は軽減されたが、2000年内では労働基準法が許し得るギリギリまで仕事をしたことになっていたので、理事長としては事故が起こらないかと気が気ではなかった。

 2001年夏には、1m望遠鏡が稼働し始める。そこでは、技術的にとても難しいモザイクCCDカメラが作られることになっている。10枚のCCDチップを並べるシステムである。その製作の訓練をかねて50cm望遠鏡では、2k×4kのCCDチップを2枚並べたモザイクCCDを採用した。

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図3. 小惑星観測の月々の変化
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図4. 小惑星の観測等級に対する検出個数

表1.  美星スペースガードセンターでの全観測数
  観測天体数 観測数 発見数
小惑星
(NEO)
1,733
(47)
4,165
(194)
221
(1)
彗星 31 107 0
デブリ等 680 7,521 204
(注) 観測天体数: 観測された独立の天体の数
観測数 : 位置観測をした数
(同一天体について計測されている複数の測定値の個数の和)
発見数 : 観測された時点で他の天体と同定されなかった天体の数
NEO : 地球接近小惑星
デブリ等 : スペーデブリと人工衛星
詳細なデータは資料(5.8節)を参照のこと

 その画像が写真1である。2枚のCCDチップの平面度は、非常によくでている。これらの問題を解決できれば1m望遠鏡では図4に示した内容の限界等級も観測数も飛躍的に増大すると考えられる。来年の報告を楽しみにしてもらいたいと思う。