小惑星観測の楽しさ

前野 拓 (国民宿舎 みとこ荘)HGE00344@nifty.ne.jp



追跡観測の大切さ
 小惑星を発見することはとても重要なことであると思います。しかし、それと同じように大切なことが追跡観測です。そのことを知るきっかけとなったことが、今年の2月16日に起こりました。
 この日、いつものように何気なく撮影をしてゆくうち、一つの小惑星を捕らえました。チェックしてみると、またもや未検出と思われる小惑星だったので、その旨報告しておきました。程なく中野さんから、今の時点では新しい小惑星かもしれないとのメールが届きました。「やったー、二匹目のドジョウをGET」と思いました。その後しばらくして、その小惑星が2001 CU3のようだとのメールをいただきました。さらに観測を続けるようにとのことだったので、あくる日も観測を行いました。すると今度は、同一視野内の、ごく近くに存在する2個の小惑星が捕らえられました。私はてっきり一方が新しいもので、一方が2001 CU3だと思い、そのように報告しました。ところが、中野さんからは、その二つが、一方が2001 CU3で、もう一方は2000 SV186であるとの返信がありました。あえなく二匹目のドジョウは泥の中に幻と消えてしまいました。2日も3日も徹夜した身に、これは堪えました。
 2000 CU3は、2月1日にLINEARが発見したもののようでした。専門機関なら、もっとしゃんとした観測せーよと思ったりもしました。しかし、それから冷静になって考えるうち、専門機関の観測でさえも、発見直後の軌道はあやふやで、まだ十分に定まっていないのだ、だからこそ、その後の追跡観測が重要なのだということに気付きました。
 この一件で、それまでは発見し、あわよくば名前がつけられるということしか頭になかった自分の考えが、大きく間違っていたことに気付かされたのです。
 このことがなければ、発見だけに捉われてしまって、最重要なことが抜け落ちたまま観測を続けていったと思います。そして、そのうち発見が出来ないことが続けば、おそらく観測を止めてしまっていたに違いありません。
 お天道様はそれを見透かして、このような経験を与えられたのかもしれません。

研究助成金の使途
 JSGAの研究助成金で、画像処理・計測用のパソコンを購入することが出来ました。形式は、ノート型としました。これは、動きの速い小惑星の場合、みとこ天文台の望遠鏡では限界があることが分かり、その場合には、もう一ヶ所、不定期に臨時指導員として勤務している那賀川町天文館の口径113cm望遠鏡を使用しての観測を行うことを考え、持ち運び可能なパソコンが必要だったからです。

今後
 宍喰町の13年度予算に、望遠鏡の自動導入装置の取り付け予算が認められ、5月末日に装置の取り付けが完了しました。ようやく頭に描いていた観測環境を整えることが出来ました。
 観測環境が整った現在、まず、どの程度の観測が出来るのかを見極めたいと思います。それを基に出来るだけ多くの観測報告を行うつもりでいます。これから、どういった成果があげられるのか全くわかりませんが、長く観測を続けることをその第一の目標に掲げたいと思います。
 また、小惑星の位置観測だけでなく、小惑星による恒星の掩蔽の観測も行うことも考えています。

最後に
 上記のように小惑星の観測を始めてまだ半年しか経っていません。天文台コードにしても、助成金にしても、荷が勝ちすぎています。それでも、これらを敢えてお受けしたのは、自らの体験により小惑星観測の重要性やその面白さに気付かせていただいたからです。そして何より、小惑星の観測がおもしろいからです。
 しかし、まだまだ学ばなければならないことがたくさんあります。皆様にご指導していただかなければならないことが出てくると思います。その時はよろしくお願いいたします。

感謝とお願い
 みとこ天文台での観測活動を続けるにあたり、JSGAの皆様、中野主一様、中村彰正様、これを読んで下さっているすべての皆様、そして「みとこ荘」職員の皆様、宍喰町民の皆様に深く感謝いたしますと同時に、今後もご指導、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 なお、四国南東部へお越しの際には、ぜひ国民宿舎「みとこ荘」へお立ち寄りください。天文台にてお待ちいたしております。


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画像3. 昇るオリオンとみこと天文台です。
そして・・・
 今夜もまた、どういうドラマにめぐり合えるのか、小さな小さな天文台の中で、大宇宙を前に、ちょうど徒競走の前のスタートラインに立ったときと同じようなドキドキ感を味わっています。