マダガスカル皆既日蝕ツアー
松島 弘一(日本スペースガード協会)



6月22日(金)
 早朝、4時50分、キャンプ場を出発、まだまだ夜明けまで時間がある。霧の立ち込める真っ暗な道を、われわれと膨大な荷物を載せた二台のミニバンは、猛烈な速度で、ひたすらチュレアールの空港を目指してひた走る。昨日の皆既日食の余韻を引きずったまま、今日はチュレアール ‐ アンタナナリポ ‐ シンガポール ‐ 成田と、 いっきに日本まで帰ることになる。車にゆられながらNASAのレポートの一節を思い出した。「・・・いやツキに恵まれるならば、日食帯の中で最もよい観測地になるであろう。」皆既日食を見るということは、天体現象を楽しむこと
である。ただ晴れていればよい、というものでもない。この一節は、実は日食観望の真髄を知った人にしてはじめて書くことのできる、含蓄のある一文であったのではないか、とこれまたいささか誇大解釈を試みた。
 途中、アンタナナリポで乗り継ぎ時間を利用し、空港近くの豪華な中華レストランで、マダガスカル最後の食事をする。ビールで乾杯をした後、一人づつ、今回のツアーの感想を述べてもらった。今回の日食には、参加者全員が、それぞれの満足感を持っておられるようであった。ツアーを企画して本当に良かったと思った。協力してツアーを盛り上げて下さった参加者の皆様に感謝したい。それにしても今回の参加者の半数が初めて皆既日食を経験されたわけである。その中のかなりの方々は、今後、皆既日食を求めて地球上を彷徨う、あの日食病患者の仲間入りをすることになるのだろうか、といささか罪の意識に苛まれながら、あらためて皆さんの顔をうかがい見た。それはともかく、あのすばらしい皆既日食ショウに遭遇できた幸運に、とにかく感謝しなければならない。
 今回のツアーも予期しないさまざまな事態に遭遇することになった。企画する側にしても、今回のような秘境ともいえる地域へのツアーの難しさを、あらためて体験させてもらった。しかし考えて見ると、よくぞここまでこぎ着けたものだと、感心もするのである。前々回の「あすてろ
いど」に掲載した「マダガスカル紀行」でも書いたように、今回のツアーはフロンティアインターナショナルジャパンの佐山恵子さんとマダガスカルサービスの浅川英夫さんの連携で遂行された。ここで簡単に説明できない、実にさまざまなご努力やご苦労があったことは推測に難くない。お二人にあらためてお礼を申し上げて、「JSGAマダガスカル皆既日食ツアー」記録の最後にしたい。


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皆既日食が終わった。皆の顔に満足感がにじみ出ている。