マダガスカル皆既日蝕ツアー
エッセイ



マダガスカルの子供達   阪尾 朋子 (静岡県)
 
 ウイークデイの午前中にもかかわらず、子供達が多いことに驚いた。道端や家の前庭で遊んでいる。乗り物の玩具やボールを手にしている者もいるが、ほとんどの子供は、何も持たないで、数人で楽しそうに遊んでいる。しかし、舗装されていない道路のくぼみを二人の子供がスコップを使って一生懸命に修復している光景がみられたり、大きな荷物を頭に載せて、大人と一緒に働いている姿も何度か目にした。しかもどの子供も生き生きとした大きな目をしている。
 マダガスカルの夕日は世界で一番美しいという。私たちは夕日を浴びたバオバブの森の美しさに感激して、お互いに夢中になって写真をとりあっていた。その時ふと後ろを振り向くと、何と現地の子供達8、9人が物珍しそうな顔をして並んでいるではないか。「写真、撮ってもいい?」といいたいが、マダガスカル語が分からないので、「整列してくれているんだね。」と日本語で声をかけて撮影した。そしてお礼に日本から持ってきていた折り紙用の千代紙を一人一人に手渡そうとした。すると後ろにいた小さな子供を前に出して、先にこの子にあげて、と合図をした。その小さな子が受け取ると安心して姉らしい子供が受け取った。はじめはみんな「これは何だ?」と不思議そうな声を出していたが、だんだん暗くなっていったので家に帰ったのであろう、姿は見えなくなった。

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Photo by Sakao

 その後ツイストバオバブを見に行った仲間を待っているうちに、あたりは暗くなり、星が見えてきたので、南天の星座を見ていた。すると暗くなっている夜道を数人の子供達がやってきた。手を出してきたので、「もうないよ。」と言おうとすると、何と握手をしに来たのだった。かわいい手で次々に握手を求めてきた。そして口々に「ミソーチャ ベチャカ(マダガスカル語でありがとうの意)」と言っている。あの千代紙一枚をこんなに喜んでくれていたのだ。時間があれば、折り鶴の折り方も教えてあげることもできたのに、、、と思いながら「グッバイ」と言ってバスに乗った。
 ガイドの説明によれば、マダガスカルでは小学校が6年、中学、高校と続いて6年、大学が4年の教育制度で、公立の小学校では教育費は無料ということだ。しかし片道15キロも離れているバオバブビレッジのような片田舎では子供の足で通学するのは無理なので、学校には行っていない子供も多い、と言うことであった。 でも暗い夜道をわざわざ「ありがとう」を言うためにやってくるマダガスカルの子供達は、自然に親しみ、親の手伝いをしたり、観光客とも接して学びながら、立派に成長して行くであろう。