美星スペースガードセンターからの報告

美星スペースガードセンターでのLER衛星の観測から-2
浅見 敦夫(美星スペースガードセンター)




 ここで、やはり予報位置の問題ではなくLRE衛星の発光周期が10秒以上であるか実際に鏡の反射が弱く衛星が思いのほか暗いのではないかと考え露出時間を2倍の20秒間にして撮影することにしました。3種類の予報位置を各15枚づつ連続して撮影していきますがディスプレーに写し出されるのは長く伸びた恒星と明らかにノイズと判断できるイメージのみです。午前4時45分、95枚の撮影が終了した時には既にあたりは白みかけていました。

 観測終了後、直ちに画像解析、確認作業に入りましたが95枚の画像を1枚1枚全て解析用パソコンのディスプレーに表示して目視で確認して行きました。画像には明らかにノイズと判断できるものの他、衛星か否か判断しがたいものもありますがこうした場合には2人の観測者が相談しながら判断して行きます。1枚の画像を確認には約2分間程の時間がかかる上、全神経をディスプレーに集中して行います。そして疲労も極まった、95枚中91枚目の画像にノイズではなく発光したような点像を検出しました。イメージは円形で中心が濃く、周辺に行くにしたがって淡くなっています。直感的にLRE衛星だと思いました。解析すると綺麗なガウス分布をしたイメージです。そこで、次の画像にも写っていかもしれないと思い勇んで調べましたがどうしたことかそれ以降には同様のイメージはありませんでした。

 結局、このLRE衛星と思われるイメージはドイツのレーダー観測で修正された予報の極近くにありましたが明るさが15等と暗い上、1枚だけであったため不安が残り観測者として確信がもてません。そこで、この観測結果を宇宙開発事業団に送付し判断を委ねました。宇宙開発事業団では軌道位置解析の結果、このイメージをLRE衛星と判断し9月5日に公表しました。この時点でようやく観測者としての肩の荷が下りた次第です。

 さて、今回撮影した95枚の中で1枚だけにこのLRE衛星が写っていたわけですが、95枚の撮影のうち70枚はそもそもLRE衛星が視野に入っていませんでした。残りの25枚には衛星が入っていたはずですが、衛星が写ったのはたったの1枚です。おそらく、この1枚を撮影したときに太陽の光が衛星表面の鏡に反射して衛星が輝いたものと思われます。これを裏付けるように9月16日早朝に東京都小金井市の通信総合研究所では衛星レーザ測距用望遠鏡のガイド望遠鏡で35分間に4回のLRE衛星の点滅を確認しています。しかし、この点滅の周期は一定ではありませんでした。

 美星スペースガードセンターでは、9月3日以降4夜にわたりLRE衛星の観測に成功していますし現在も引き続き観測を継続中です。(9月20日現在)しかし、1回の観測で200枚位撮影してもLRE衛星が全く写らないこともあり、他の衛星観測に比べて困難な面もありますが一連の観測によってLRE衛星の軌道がより正確になり、今後のレーザーによる観測等にも役立つことになると思います。