マウイ紀行(その1)

-米国におけるスペースデブリ・小惑星の光学探索1-
梅原 広明 (通信総合研究所)



はじめに

 「知合いの John Africano さんが世話人になっている AMOS 技術研究会に参加してマウイ島にある光学観測施設を見学してこようと思う。ここは空軍関係の施設だから、この研究会に参加すれば見学することができるらしいが、普段は公開されていない。」という話を今年の3月に磯部理事長から私はききました。光学観測機器に詳しくないわりには興味があり、働いている通信総合研究所での本務の一つである軌道保全に携わっている私は、一緒に研究会に参加してみたいとの希望を抱きました。もっとも、この研究会が、国際会議として募集されているわけではないため、外国人を広く募集していないとしたら、主催者に参加を断られる恐れがあります。しかし、参加可能との返事を頂き、去る9月8日?16日の予定でハワイに行って来ました。日本からは、磯部理事長の他に、宇宙開発事業団の野中和明さんと私との3人が参加することになりました。

 いつも受ける印象なのですが、アメリカは略語を使った案内が多い。まずは、研究会の名称になっている AMOS の意味を知らないといけない、と思い研究会の案内がでているというホームページ
    http://ulua.mhpcc.af.mil/
を閲覧すると、新たな略語 MSSS, MHPCC, AEOS, ...が出て来るのですが、これらの略語がどのような意味をもつのかがわかるまでに時間がかかりました。なんでも、AMOS というのは Air-Force Maui Optical Station の略で、エイモスと呼ばれているそうです。和訳すると「空軍マウイ光学局」といった感じでしょうか。そして、見学させて頂ける場所が MSSS (エム・エス・エス・エス)と呼ばれていて Maui Space Surveillance Site (マウイ宇宙監視基地)が正式名称であることがわかりました。
 普段からやることが遅くなりがちな私は、この研究会の申し込みでも、かんじんの見学会に申し込むことを8月末まで忘れていました。主催者に今から問い合わせると、「9月9日と11日の2回にわけて見学会を行なう。11日の見学会は定員に達してしまったため、9日のみ受け付ける」とのことでした。研究会が10日から14日までですから研究会の最中に見学しよう、と多くの人が考えるのは当然で、磯部理事長や野中さんも11日の予定になっていたため、私もそちらを希望していました。しかし、やむなく9日の見学会を申し込みました。
 さて、成田を発ち、ホノルル国際空港を経由してマウイ島にやってきました。研究会はワイレアという海辺のリゾート地にあるホテルの大会議室で行なわれるのですが、見学会もそこから出発です。空軍の施設を見学するわけですから、バスに乗るときにパスポートなどの身分証を提示するのかと思いきやそれは省略されました。ただ、構内での写真撮影は禁止である、との注意は受けました。

 海辺から、バスで1時間半くらいかけて標高3058メートルのハレアカラ山を登ります。MSSS はこの山の頂上にあります。やがて、樹木がなくなり雲をくぐりぬけました。途中、ダウンヒルの自転車とすれ違うときにブレーキを強く踏まれるため多少車酔いしてしまいました。ダウンヒルはハレアカラを観光する一つの方法であるらしく、山登りではバスに乗り、山頂からふもとまで自転車で一気に下るもので、スリルと解放感を満喫することができるらしいのです。ガイドに先導されているとはいえ、見ている方もスリルがありました。山道の多くはガードレールがない解放的なものだからです。無事、国立公園の料金所を通り、レンガ色の山肌ばかりが目立ってきました。シルバー・ソード (銀剣草) というハワイ特産のキク科植物が見られる所でバスはとまり草の説明をもらい、再び発車。マウイ宇宙監視局に到着しました。
 ハレアカラ山は標高3000m程度で世界最大の休火山。殺伐としたというか地殻を意識させる風景。スタンリー・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」のロケ地だったそうです。ちなみに、ハレアカラとは「太陽の家」を意味するようですが、『晴れて、からっと、ハレアカラ』などという駄洒落が思いついてしまったのは恐らく私だけだと思います (この神秘的な印象を壊してしまった…)。

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MSSC 概観(ハレアカラ山頂展望台より筆者撮影 2001年9月11日)