講演ノートから
宇宙からのインパクター : 危険な小惑星からしし座流星雨まで
デービッド・アッシャー
日本語訳: 美根 二詩子



1.はじめに

 今日は宇宙からやって来て地球へ衝突するもの(Impactors)についてお話しましょう。小さな粒や石ころ、または大きな岩が猛スピードで地球の大気圏に飛び込んでくることがあります。猛スピードで動く物は、莫大なエネルギーを持っています。車は一時間に30キロとか50キロとか70キロのスピードですが、宇宙から地球へ飛び込んでくるものは一秒間に30キロとか50キロとか70キロのスピードです。だから、地球の周りには、莫大なエネルギーを持ったものがたくさんあるのです。

 もしも、大きなものが地球に衝突してきたら、こんな風になるでしょう。(図1) 10キロくらいの大きさのものが地球に衝突したとき、恐竜が絶滅しました。そして、もしも小さな粒がたくさん、いっぺんに地球に降り注げば、こんな風になります。(図2)このようなことは、予測することができるのでしょうか?幸い、地球は太陽系全体の大きさに比べれば非常に小さな「的(まと)」なので、そうそう大きなものがぶつかってくることはありません。でも、衝突はいままで、確かに何度か起こっているのです。もし、衝突がいつ起こるのかという情報を、事前にキャッチすることができれば、私達はそれに備えることができます。

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図1 地球に衝突する小惑星(NASA)
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図2 1833年アメリカで出現したしし座流星群

 小さな粒子がたくさん地球に降り注げば、それは流星雨となり、大きなものが衝突したときのような致命的な被害はありませんが、もしそれが予測できれば私たちは外に出て、素敵な流れ星を見ることができます。また、そのような小さな粒子は、人工衛星には大きなダメージを与えるので、予測することはやはり重要です。

2.地球に衝突する大きなものー小惑星・彗星

 太陽の周りを回っていて、地球の軌道と交わる軌道をもつものはたくさんあります。そのようなものは、地球と衝突する可能性があるのです。今から200年前まで、木星より内側の太陽系には地球を含めて4つの惑星しか知られていませんでした。これらの惑星たちは明るいので、古代から知られていました。ちょうど今ごろは、夜になると南の空に赤い惑星、火星が見えていますね。

 西暦1800年、どうも火星と木星の軌道の間が大きく開きすぎている、もしかしたらそこにはまだ知られていない惑星があるのかも知れない、と言われるようになりました。そして1801年1月1日、最初の小惑星セレスが発見されました。それは惑星のようではあるのですが、妙に小さいものでした。次第に、火星と木星の軌道の間に、たくさんの小惑星が発見されていきました。そこで、この領域は小惑星の「メインベルト」と呼ばれるようになりました。

 1898年、変わった小惑星が発見されました。その軌道は火星の内側で、地球に近かったのです。この小惑星はエロスと呼ばれています。これは最近、ニア・シューメイカーという探査機がエロスに着陸して撮った写真です。(図3)エロスは30キロくらいの大きさで、より小さな小惑星が衝突した跡のクレーターがたくさんあります。

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図3 小惑星エロス(ニア・シューメイカー探査機撮影;NASA)

20世紀の終わりまでに、地球と交わる軌道をもつ小惑星もたくさん発見されました。でも、まだ発見されていない小惑星は、今発見されているものと同じくらいあるでしょう。さらに、地球と交わる軌道を持つ彗星もまた、たくさんあるはずです。彗星はぼんやりした頭と、尾がある姿で有名です。彗星はその表面に、小惑星よりも多くの氷があるので、太陽の近くに来ると暖められて蒸発し、ガスが表面から外へ広がっていくので彗星本体からガスを引きずったような形になり、地球から見るとぼんやりして尾があるように見えるのです。

 小惑星や彗星が地球と交わる軌道を持つということは、地球と衝突する可能性がある、ということです。私達はそのような危険な天体をできるだけたくさん見つけておかなければいけません。美星スペースガードセンターは、そのような危険な天体を見つける上で世界的にも大きな貢献をしています。小惑星の観測者にとって、違う場所での観測は非常に重要なのです。例えば、ある観測所で奇妙な小惑星を見つけたら、他の観測所でも観測をしてもらい、その小惑星を見失わないようにするのです。

 まず、天文学者たちは大きな天体を見つけようとします。衝突してくる天体の大きさが、1キロ以上になると、地球全体に災害が及ぶからです。小惑星の探索を何年か続けていくと、より小さな天体まで見つかっていきますが、これからもまだ、絶滅をもたらすような天体が見つかるでしょう。もし、数百メートルの大きさのものが海に落ちたとすると、その周りの海岸にある都市が全て壊滅するほどの大きな津波が起こるでしょう。(例えば、太平洋に落ちたら、東京や、ロサンゼルスや、上海が壊滅するでしょう。)もし、50メートルくらいの大きさのものが落ちたとしても、大きなダメージを受けます。1908年に、実際にシベリアで起きました。衝突して来たものは地面にぶつかる前に爆発し、爆風が50キロ先の木までなぎ倒しました。

 美星スペースガードセンターの望遠鏡は視野が広いので、広い領域の空を撮影することができます。できるだけたくさんの小惑星を探すためには、できるだけ広い空をカバーしなければいけません。今から数年後には、美星スペースガードセンターで衝突する可能性のある小惑星がたくさん見つかっていることでしょう。

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