マウイ紀行-2



◎ Phoenix 不死鳥望遠鏡
 RME にある、AMOS 所有の望遠鏡。1957年から1975年までスミソニアン天体物理観測所にあった望遠鏡を最新機器によって改良しマウイに移管させたそうです。古い望遠鏡を再生させた妙が讃えられているようです。口径 50 cm で、f/1 シュミットカメラ。CCD は 4096×4096画素で、1画素15μm、視野角は 6.8°×6.8°もの広視野になります。ただし、空間分解能も1画素あたり 6 秒角と、これも大きくなってしまっています。まだ、機器構成を終了した段階で、具体的な観測はこれからのようです。

◎ GEODSS (Ground-based Electro-Optical Deep Space Surveillance) 
 GEODSS の講演が Rechard L. Lambour さん (MIT Lincoln Laboratory) という方からありました。これは AMOS の所有ではないようですが、米国に数機あるようです。私が英語を聞き取ることに失敗しただけなのかもしれませんが、どこの所有で、何機あるのかを把握することができませんでした。Deep Space といっても、AMOS のパンフレットによると「深宇宙」の定義は、約2万km以上の地球周回軌道だそうです。主たる探索領域は静止軌道付近やモルニヤ軌道付近のようです。前述した NEAT が用いていた、そして、後述する LINEAR プロジェクトが用いている望遠鏡は、それぞれ GEODSS の一員で、口径 1.0m, 視野角 1?2°の性能を持ちます。ニューメキシコ州 Socoro にある Experimental Test Site (ETC, 実験試験局)では、40cm f/1.7 シュミットカメラがあるそうです。CCID-16 というカメラを装着していて、視野角は 6°×4°、限界等級は1秒露出で可視等級で16等だそうです。講演では、静止軌道とモルニヤ軌道付近をどのように撮影したら効率的に微小な天体をどのくらい多く検出できるかについて、シミュレーションを行なった結果が主に紹介されていました。

◎ Lincolin Near Earch Asteroid Research (LINEAR)
 Lincolin 研究所が独自に開発した CCD を取り付けています。望遠鏡は Experimental Test Site の GEODSS 2機を用いているようです。2560×1969 画素で、視野角は 1.6°×1.2°となります。撮影後の転送は、背面にあるバッファに数ミリ秒もの高速でなされるため、非常にたくさんの画像を得ることができるそうです。

◎ NASA におけるスペースデブリ光学探索状況
 液体望遠鏡 (Liquid Mirror Telescope) が開発されています。水銀を回転させて、曲面をかもしだすシステムです。1992年から開発を始め、1996年10月から運用されているようです。口径30m, 厚さ1.7mm, 視野角 0.5 平方度です。1秒間に30回撮影するビデオカメラが取り付けられています。また、通常の光学望遠鏡は 1980年代から開発を始め、現在の運用形態は 1997年12月から始まっているそうです。32cm f/1.3 シュミットカメラで、視野角は 1.7°×1.7°、Apogee-7 CCD が取り付けられています。20秒露出で限界等級は17等だそうです(アルベド0.2だとすると静止軌道上の物体は直径0.6mのものが検出できるはず)。

◎ Bern 大学における静止軌道上デブリ探索
 できるだけ暗い微小なデブリを探索するプロジェクト。口径 1m の modified Riichey-Cretien focus という望遠鏡。CCD は 2048×2048 画素、視野角 0.7°×0.7°で、短露出画像を重ね合わせることによって、暗い静止物体を検出する。20等級のものが検出されている。

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Raven小型自動制御望遠鏡(AMOSホームページより)
http://ulua.mhpcc.af.mil/AMOS/gallery.html
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3.67m望遠鏡で取得した可視光データ。国際宇宙ステーション。
左が画像処理前、右がMHPCCによる画像処理後。

◎ Michigan 大学における静止軌道上デブリ探索
 口径 0.6m と 0.9 m の2つのシュミットカメラをもつ。CCD は 2048×2048画素で、視野角は 1.3°×1.3°。また、1.3m modified Riichey-Cretien focus 望遠鏡をもつ (f/4)。2048×2048画素で視野角は 1.7°×1.7°。さらには、2.4m modified Ritchey-Chretien 望遠鏡 (f/7.5) もあり、8192×8192画素だそうである。

◎ 膜状鏡 (membrance telescope) の開発
 空軍研究所とジェット推進研究所でそれぞれ開発されている。10μmの厚さである。JPL のものは口径 90cm である。丸めて人工衛星に搭載し、宇宙から軌道監視をすることが主目的である。

さいごに

 以上、雑然と私が気になった講演内容を列挙しました。研究会は無事におわり、帰途につきました。磯部理事長と野中さんは予定通り帰りましたが、私は航空会社が異なったため、ホノルル国際空港で予定していた飛行機が取り消され、予定より1日遅れて帰国しました。テロの影響によって航空便が激減したため、仕方ありませんが、数千人もの人々が並んで飛行機を待っていました。あまりの混雑のため、どの列がどのように形成されていてどこが末尾なのか、まったくわからず、また航空会社職員の方自体が混乱していたためか、進捗状況の説明が一切ありませんでした。待っている人の不安はより強くなったのですが、せめてこの列は何の列なのかという看板だけでもあれば、少しでも状況が整然となり、気持も穏やかになるのに、と思いました。これは、有事におけるマネジメントのあり方、情報伝達のあり方を考えさせられる機会にもなりました。

参考文献

[1] 南沢弥生, ``現在活動している世界のNEO探索計画'', あすてろいど26号, pp.3-6 (1999年4月)
[2] 梅原広明, ``通信総合研究所におけるスペースデブリの探索'', あすてろいど31号, pp.4-8 (2000年7月);
[3]梅原広明, 木村和宏, `` 静止デブリの光学観測:赤経90[deg]方向の探索'' ,日本航空宇宙学会論文集, 49[No.564], PP.1-8 (2001年).