美星スペースガードセンターからの報告
たのしかったびせいりょこう
−ISTS・美星スペースガードセンター見学ツア-1
寺薗 淳也(日本宇宙フォーラム)


…おいおい、なんだこの題名は、ふざけるな…という方もいらっしゃるかもしれませんが、しばらくおつきあいのほど。何しろ、国際学会におけるこういう見学旅行は、エクスカーション(excursion)というのですが、これを英語の辞書で引くと、「遠足」って意味になるんですから。

国際学会ISTS

今年の5月末、「宇宙技術および科学の国際シンポジウム」(略称ISTS、International Symposium on Space Technology and Science)という学会が開催された。この学会は、実は1959年から開催されている、宇宙開発関連では知る人ぞ知る、歴史ある国際学会なのである。2年おきに開催されており、23回目を迎えた今年は、島根県・松江市で開催された。
通常、このような国際学会においては、ただ単に発表や講演だけではなく、その土地にある名所旧跡、あるいは科学技術の観点から興味があるところに実際に出かけて、見学をするという旅行が組まれることが多い。昨年この「あすてろいど」で私がリポートした、シチリアでの学会「Asteroids 2001」でも(第36・37号参照)、古代遺跡へのツアーが組まれていたりした。
せっかくはるばる外国からやってきたお客さんに対して、そのまま会議室に何日も閉じ込めるというのはかわいそうである。せっかくだから、その会場の周辺で、その国を実感させる、あるいはその国が持つ科学技術関連の施設をみる…というのは、紹介する側、される側双方にとってメリットがあるものである。
そこで、今回のISTS学会に合わせて、松江周辺での宇宙関連施設への見学ツアーが計画された…そこで、松江から近く、かつ今回の学会でも1セッションが組まれるほどの問題となっている「宇宙デブリ」の関連施設として、美星スペースガードセンターへの見学ツアーが組まれた、というわけである。

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写真その1 美星町・吉備高原神楽民俗伝承館での昼食のひとコマ。皆座敷に座ぶとん敷きで、幕の内弁当を食べているという、完全和式のお昼ごはんとなっています。 写真その2 みんなで大型望遠鏡棟へ。高さはビル4階分くらいあるので、登り下りは意外ときつい。

美星への道

とは一口にいっても、松江から美星への道は、そう近いものではない。
お手許に地図がある方はぜひ開いてみていただきたい。美星というところは、岡山県でもどちらかというと太平洋側である。何しろ、美星スペースガードセンターの1m望遠鏡の建屋に上ると、遠くに瀬戸内海を眺めることができるのだ。
一方、松江はほとんど日本海側である。つまり、松江から美星まで行こうとすると、ほとんど本州横断をやってのけなければいけないのだ。
しかもツアーはまる1日である。さらに、この日は夜にソシアル・イベント(学会に出席する同伴者のためのイベント)があるため、あまり帰りを遅くすることはできない。
ISTS旅行委員の綿密な検討の結果、高速道路をフルに活用し、現地滞在時間を2時間と設定することで、松江と美星とを1日で往復することができる、ということになった。多少強行軍であるが、せっかくの宇宙関連施設ツアーである。きっと多くの人が見に来てくれるだろう…
…その結果、ツアーは学会を待たずして既に満員御礼、学会が始まった時点でキャンセル待ちという、大人気のものとなった。さあ、あとは当日を迎えるだけである。

いざ出発

5月30日、朝8時。バスの出発の時間である。堀内幹事(日本スペースガード協会の理事でもある堀内節夫氏)の事前の細やかな根回しにより、出席者全員にあらかじめ集合時刻をFAXで送るという作戦が功を奏したのか、ほとんど遅れる人もなく…といいたいところであるが、やはり2、3人は出発時刻ぎりぎりに駆け込んでくるというところが、こういうツアーの頭の痛いところである。
ともかくもバスは定刻に松江駅前を出発し、一路、岡山に向けて走り出した。
先ほど、「高速道路をフルに使えば」ということを述べたが、松江からのルートは、山陰自動車道→米子自動車道→中国自動車道→岡山自動車道と高速道路をひた走り、賀陽ICから高梁に下り、ここから国道313号で川上町を経由し美星に至る、というコースである。事前の計算と下見では、美星までは3時間40分という計算であった。ただ、道路事情というものは予測できないもので、もし遅れてしまったら…という心配は、常に頭の中にはあった。
<つづき⇒>

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