美星スペースガードセンターからの報告
たのしかったびせいりょこう
−ISTS・美星スペースガードセンター見学ツア-2
寺薗 淳也(日本宇宙フォーラム)


松江市内の渋滞を抜けると、あとはバスは順調に走っていく。バスにはガイドさんが同乗して、周囲の風景の説明をしていく。もちろん、乗客は3分の2以上が外国人である。そのため、同乗していた2人のボランティアの方が、その説明を同時通訳していくのである。もっとも、ほとんどのお客さんが、朝早く起きたこともあって眠そうな顔をしていたので、どのくらい理解してもらえたか、ちょっぴり不安にはなってしまったが…。
予定より早く、9時には蒜山高原SAに到着し、ややたっぷりめの休憩を取った後、バスはひたすら南を目指して走る。朝出たときには曇り空だった天気は、南に向かうにつれて段々と晴れ間の多い空へと変わってきた。今日は期待できそうである。ただ、晴れてくると暑くなるかもしれない。
高速道路を下り、国道といってもかなりの山道の国道484号を高梁まで下り、そこから国道313号に入る。ここまで来ると、いつもの出張で見慣れた景色が広がってくる。ただ、乗っているのが観測所のワンボックスカーではなく、大型観光バスという点だけが違う。アイポイントが高い車からみると、見慣れた景色もまた雰囲気が違ってくる。
313号から美星の町外れで分かれ、星の郷街道を美星町の中心部へ向かって走っていく。いつもだともっと近い道を行くのだが、観光バスで行くとなると、広い道を使わなければならないので、やや遠回りをして行かざるをえないのである。次第に美星の中心部の光景が見えてくる。
私も、美星町の名前の由来などをマイクを使って説明したりした。いわく、Biseiとは漢字で書くとBeautiful Starになること、美星には流れ星にちなんだ伝説があること、などなど…といっているうちに、バスは中世夢が原の駐車場に到着した。時間は11時39分。信じられないほどのジャスト・オン・タイムである。

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写真その3 見学終了後のスナップショット。観測棟の表札をバックに、左からFilippo Gragnani氏、磯部理事長、Walter Flury氏 写真その4 蒜山SAからの大山。

美星にて

中世夢が原は、美星スペースガードセンターの隣にある公園である。中世の備中の村を模したテーマパークになっている。この日(木曜日)は本当であれば休園日なのであるが、美星町の特別の計らいにより、このツアーのために特別開園してもらったのである。
到着した一行はまず、中世夢が原に併設された吉備高原神楽民俗伝承館で、備中神楽を楽しみながらの昼食となった。実はほとんどの人は、前夜の松江城での夕食会で、出雲神楽を堪能しているのである。城の特設ステージで展開された神楽と、伝承館の小さいステージで繰り広げられる神楽。ツアー参加者は、日本の根本的なカルチャーを2度も、違った形で体験する、よい機会になったかもしれない。
昼食が終わった一行は、そのままバスに再度乗り、美星スペースガードセンターの隣にある、美星天文台の駐車場に降り立った。ここで3班に分かれて、美星スペースガードセンターの施設、スペースガードセンターの展示棟、そして美星天文台を見学するのである。ただ、見学時間は全部合わせて1時間くらいという、これまた強行日程ではあった。
既にスペースガードセンターには磯部理事長も待機されており、観測者の方とともに、望遠鏡のデモンストレーションなどの体制を準備されていた。
ツアー参加者は、くるくると動く50cm望遠鏡や、1m望遠鏡の大きさなどに感嘆していた。また、専門家も多かったため、望遠鏡CCDの冷却機構や主鏡の保持機構、冷却の温度など、こまかな質問も多かった。私もおかげで勉強になってしまった(先に勉強すべきですね、はい)。
もっとも、多くのツアー参加者にとっては、1m望遠鏡のピアと50cm望遠鏡のタワーの登り下りはさすがにきつかったようである。下りてくると「疲れたー」という表情をみせていた人も多かった。さすがに連日の会議が効いていたのかもしれないが…。
また、展示棟では展示内容やビデオ(でも日本語)を見ながら、スペースガードセンターの役割や、レーダによりデブリの監視を行う上斎原スペースガードセンターについての説明を見たりしていた。
美星天文台には、口径101cmの望遠鏡があり、一般の人でもみることができる。といっても、昼間では星を見ることはできないが、それでも望遠鏡本体の説明などに聞き入っていた。
このような感じで一通りの見学が終わった後、参加者はゆっくりと、中世夢が原の中を通って、駐車場まで帰っていった。
参加者はもうみな打ち解けて、和気あいあいとした雰囲気の中で、お茶を楽しんだり記念撮影をしたりしていた。日本人、外国人の区別なく、しばし昔の日本の文化を楽しみながら、見学の後のひとときを過ごしていたようである。何しろ、最先端の観測施設を見た後に、いきなり中世の村であるから、カルチャーギャップも相当だったのではないだろうか。

帰り道

事前の天気予報ではあまり天気が良くない、ということであったが、結局山越えのときだけわずかながらの雨を見ただけで、ほとんどの参加者には、好天の中、美しい景色と最先端の施設、そして昔ながらの日本の雰囲気を楽しんでいただけたようである。
帰りのバスの中は、皆慣れない階段の登り下りなどで疲れたのか、一様に静かに眠り込んでしまう人が多かった。それでも、会話の弾む集団もいたりして、ツアーの面々が次第に仲間として一緒になっていっている様子がほの見えたのも、面白いことではあった。
バスはこれまた時間通りに北上し、再び蒜山SAでの休憩となった。行きにはみることができなかった大山が、今度は正面にくっきりとそびえ立っていた。旅ももう少しで終わり。強行日程ではあったが、参加者の顔に満足感が浮かんでいたことは、間違いはないであろう。
今回のツアーにあたっては、現地にてご準備を頂いた磯部理事長、及び美星スペースガードセンターの観測者の皆様、美星天文台の綾仁台長、美星町創星課の川上課長をはじめとする美星町・中世夢が原のスタッフの方々に大変お世話になりました。また、ISTS旅行委員会の中島厚委員長、堀内節夫幹事をはじめとする旅行委員の皆様のご努力に感謝いたします。
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