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磯部 しゅう三 (日本スペースガード協会理事長)


小惑星2002MNが地球をかすめていった

LINEARチームが2002年6月17日に発見した小惑星は2002MNと仮符号が付けられ、その大きさは50−120mもあり、地球に衝突すると、オランダ一国を吹き飛ばすだけのパワーのあるものであった。そして、よく軌道を計算すると、2002年6月14日に地球からわずか12万km(月の距離の3分の1)の所を通り過ぎたものであることがわかった。
見つかったものの中では2番目に近いものであり、しかも地球を通り過ぎてからやっと発見されたものである。つまり、この小惑星は太陽方向から近づいてきており、もし衝突するなら何の予告もなしに起こるものであった。このような太陽方向から来る小惑星は、人工衛星からの観測がなければ事前には見つけることはできない。今後、地上の観測体制が充実してくると、このような小惑星の発見が多くなるであろう。人工衛星からの監視体制をとるかとらないかが今後の課題になるであろう。

人工衛星・宇宙デブリの軌道データ閲覧を続けられるか

地球の周りを回っている人工衛星・宇宙デブリの軌道を正確に決めるために、世界では40カ所の光学・レーダー・電波観測によって行われている。そして、そのうちの大部分はアメリカ空軍が行っており、日本の美星スペースガードセンターのデータはまだこの中に取り入れられていない。アメリカ空軍では、データをNASAに提供し、そこで各人工衛星・宇宙デブリの軌道データをTwo-Line-Elements(TLE)としてインターネットを通じて公開している。
しかし、データを取り込む人のやり方によっては軍事的に大切なデータを破壊したり、変えてしまう可能性がある。そこで、NASAは利用者を4つのグループに分けている。最も優先度があるのはsuper-userと呼ばれ、これは世界では日本の宇宙開発事業団(NASDA)を含めて21チームのみである。そのうち11がアメリカ以外のチームで、さらにそのうちの5つがそれぞれの国の代表者である。
登録した利用者は1,100チームあって、1日500個のTLEを見ることができ、さらに必要があれば次の登録をすませばさらに500個のTLEが得られる。登録していない利用者は月に10万回Web pageに入ってきて、人工衛星・宇宙デブリのTLEではなく、それらのカタログのみを得ることができるだけである。
しかし、アメリカ空軍はこれらのデータが敵対国に使われる可能性があるので、使用を禁止させるようにNASAに要求している。この結論は、この秋に出されることになっているが、日本ではNASDAを除く機関はTLEの取得に困難が起こる可能性がある。
目下のところ、NASAは反対しているが、もし、データが一般に公開されないという結論が出されても日本では美星スペースガードセンターによって観測データが次々と得られるようになれば、自前のテータを提供するということによりアメリカ空軍と交渉することが、将来において可能性が出てくる。我々も頑張らねばと思っている。

スペインのアマチュア天文家によるNEAの発見

スペインのアマチュア天文家ラファエル・フェルランドが25cm望遠鏡を使って、2002年3月に18等級のNEAを発見し、2002EAという仮符号が付けられた。3月15日には850万kmまで地球に接近するものである。スペインで13番目の小惑星の発見がなされたのは1941年のことで、その後、1998年までスペインでの発見はなかった。
そして、今回の発見は、15番目であるだけでなく、NEAでもあった。このことはまた、アマチュアにもNEAを発見する可能性が十分あることを示している。小惑星の数は多いので、まだまだ未発見のものが多く、LINEARチームが全てのNEAを発見し尽くしてしまうと言う人もいるが、まだまだアマチュアの出番が十分あることがわかる。

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