[日本スペースガード協会]

美星スペースガードセンターにてLRE衛星の観測に成功


 先月29日に打ち上げられましたH2Aロケットによって、ミラーボール状のLRE衛星が地球を 周回する軌道に投入されましたが、9月4日の早朝に美星スペースガードセンター(岡山県美星町、 日本宇宙フォーラム所有)にて、この衛星の写真撮影に世界で初めて成功しました。

 日本スペースガード協会では、H2Aロケットの打ち上げ以来、宇宙開発事業団からの依頼に 基づいてLRE衛星の観測を試みてきましたが、9月4日の午前5時前の観測でこの衛星を撮影する ことに成功しました。LRE衛星はその正確な軌道が分かっていませんから、いくつかの軌道が想 定されていましたが、想定されたすべての軌道について予測される位置に望遠鏡を向けて観測 を行いました。この日にLREに向けて撮影された枚数は95枚にのぼります。また、実際の撮影で は、予想される動きに合わせて望遠鏡を動かしながら撮影を行うということをしました(露出 時間は20秒〜30秒)。これは、衛星の明るさがかなり暗いと予想されていたためです。実際、 撮影されたときの明るさは15等と非常に暗いものでした。

 撮影した95枚の中で、1枚だけにこのLRE衛星が写されていました。この結果から、逆に 推定しますと、95枚の撮影のうち70枚はそもそもLRE衛星が視野に入っていませんでした。 残りの25枚には視野には衛星が入っていたはずですが、衛星が写ったのはたったの1枚です。 おそらく、この1枚を撮影したときに、ちょうど太陽の光が衛星表面の鏡に反射して衛星が 輝いたものと思われます。衛星が撮影されたとき、衛星は東南東の方向で地平線からの仰角が 14度ほどの位置にありました。

 今回の観測によってLRE衛星の軌道がより正確になり、今後のレーザーによる観測等にも 役立つことになると思われます。したがいまして、今回の観測の成功は非常に意義の大きいものです。

2001年9月6日
日本スペースガード協会 (理事長 磯部しゅう三)


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撮影された写真


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中央の点状の天体(マークの中心にある)がLRE衛星。
望遠鏡を衛星の動きに合わせて動かしているため、まわりの星が線上に伸びている。
(2001年9月4日午前4時44分、美星スペースガードセンターにて撮影。)
[観測データ:時刻 2001/9/3.82238 UT、赤経 7h 57m 18.14s、赤緯 -7°35' 55.5"]