小惑星ニュース - JSGA Web News No.11 -
火星探査機 Mars Reconnaissance Orbiter (MRO) 熊本県民天文台の艶島敬昭氏と小林寿郎氏(T. Tsuyashima & J. Kobayashi, Kumamoto)から,2005年8月12日22時 JSTすぎ,アンドロメダ座α星ふきんにアポジモ ータを噴射したような明るい光点と雲が肉眼で見られることが報告された.氏によると, この光斑(ジェット)は,しだいに北に動き,その光度は2等〜3等であった.このジ ェットは,南阿蘇ルナ天文台の宮本孝志氏(T. Miyamoto, Aso),山口県徳地天文同好 会の末永道真氏(M. Suenaga, Kudamatsu)によっても,22時台に捕らえられ,その画 像が報告された.さらに,宗像ユリックスプラネタリウムの山田明氏(A. Yamada, Kita-Kyushu)からも画像の報告があった. 左の画像は,2005年8月12日22時16分,右 の画像は,同22時38分に下松の末永氏によって撮影されたもので,右の画像では,ジェ ットの先端に2個の移動体が見られる.
美星スペースガードセンターの浅見敦夫氏(A. Asami, BSGC)は,これらの画像から その位置を次のように測定した. 2005 UT α (2000) δ Place h m h m s o , " Aug. 12 13 16.9 23 38 17.00 +31 31.4 Yamaguchi " 12 13 19.1 23 42 41.00 +32 11.6 " " 12 13.5 23 51.6 +32 32 Kumamoto " 12 13 38.2 00 07 52.00 +35 44.7 Yamaguchi " 12 13 42.6 00 14 46.17 +36 42 53.1 Kumamoto " 12 13 42.6 00 14 50.67 +36 43 24.7 " " 12 13 42.7 00 14 55.24 +36 43 52.6 " " 12 13 56.0 00 21 18 +37 20.8 Aso " 12 13 57.0 00 21 39 +37 24.0 " なお,浅見氏は,山口で撮影された画像上にこの光班の近くを同じ方向に動く2つの 光点を見つけ,次のように測定している.なお,この光点は,小林・末永諸氏らも観測 している. 2005 UT α (2000) δ Place h m s o , " 光点A Aug. 12.56806 00 07 07.9 +35 54 04 Yamaguchi " 12.56833 00 07 36.3 +35 57 07 " 光点B Aug. 12.56806 00 07 21.5 +35 47 55 Yamaguchi " 12.56833 00 07 50.4 +35 51 01 " 宇宙航空研究開発機構の吉川真氏(Makoto Yoshikawa, JAXA)によると,当夜は, NASAが打ち上げた 火星探査機(MRO)のトラッキング支援を行なっており,その打ち上 げが8月12日20時43分で,内之浦からのトラッキング開始が21時43分頃,その後,支援 は8月13日07時半すぎまで続けられたという.氏は,報告された観測位置からこれが MROであることを同定した.  なお,NASAの資料によると,上記の時刻に対応する MROの山口と熊本での予報位置は, 次のとおりで,これらは,上記の観測値と良く一致している.このとき,MROは,山口 から,およそ1.6万Km,熊本からおよそ2.5万Kmにいたことがわかる. 2005 UT α (2000) δ 距離(Km) h m h m s o , " Aug. 12 13 17.0 23 38 15.80 +31 35 34.2 15744 " 12 13 19.0 23 42 08.95 +32 14 19.6 16545 " 12 13 38.0 00 08 49.58 +35 58 24.3 23827 " 12 13 42.0 00 14 15.01 +36 39 40.5 25411 " 12 13 43.0 00 15 10.84 +36 45 53.5 25775 <MROについてのコメント> 8月12日,20:43(日本時間)に,アメリカのマーズ・リコネッサンス・オービター(MRO) という探査機が打ち上がりました.リコネッサンスとは「偵察」という意味ですが,この 探査機は,火星を周回しながら,膨大なデータを地球に送ってくるものです.火星につい ては,今までもかなり詳細なデータが分かっていますが,紫外線・可視光・赤外線のカメ ラ,そして,レーダーなどを使って、さらに細かい調査がなされるようです.フロリダの ケープカナベラル空軍基地から打ち上げられましたが,打ち上げ直後に,アメリカが世界 に3ヶ所に持っている追跡局(Deep Space Network)から見えない時間帯があります.日 本からは,条件よく追跡ができるので,NASAからJAXAに追跡支援の要請があり,JAXAの内 之浦宇宙空間観測所からMROをトラッキングしました。約7ヶ月後に火星に到着するという ことです.どのようなデータを送ってくるのか楽しみです. 吉川 真(宇宙航空研究開発機構) JSGA Web News No. 11 2005 Aug. 18 日本スペースガード協会 (c) Copyright JSGA 2005 中野 主一

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