小惑星ニュース - JSGA Web News No.69 -
シュワスマン・ワハマン第3彗星の接近 [From YC 2514(全文)] −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− お詫び:美星のコンピュータのシステム障害のため,発行・発送が遅くなった −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 山本速報2510にL核までの分裂核の発見を紹介したが,彗星が地球に接近して きた観測効果の影響で,さらにAT核までが見つかった.これで,現在,観測され ている核は,明るい核,C核,B核,G核を始めとしてAT核まで40個になった.40個 の核の軌道を前号2513に示した(IAUC 8692, IAUC 8693, IAUC 8703, IAUC 8704; cf. YC 2492, YC 2502, YC 2506, YC 2510, YC 2513).なお,この山本速報の 編集後,BM核まで新たな核19個が見つかったので,図と表に加えた.これらの核 は,彗星が地球に接近してきたために観測効果で発見された微小の核で,もっと も明るいBI核でもH10=19.6等.上尾の門田健一氏(K. Kadota, Ageo)も独立して 見つけたBC核は,氏の観測光度が16.3等であったが,H10=20.1等と暗い. しかし,このように,20等級前後の微光の核でも,5月中旬の接近まで生き残 れば,14等〜16等級前後で観測できるものもある.たとえば,図1の5月11日に は,J核は13.4等,L核は13.7等,N核は13.9等,R核は12.9等,Y核は13.2等,AQ核 は11.9等,AS核12.8等,BI核は14.0等と明るくなり,さらに,接近時には,12等 級前後まで明るくなるだろう.ただし,微光の核は,光度の増減が激しく,必ず しも明るくなるとは限らない.また,たとえば,J,S,T,Y核のように消滅した と思われる核もあることに注意.なお,同じ日(5月11日朝)には,C核は5.5等, B核は5.0等,G核は8.0等くらいまで明るくなることが期待される.接近時には, これらの明るい核を重点にながめるのが良いだろう.なお,4月末現在,C核とB 核の眼視全光度は,7等級まで明るくなっている. ところで,B核は,4月上旬には,眼視全光度で9等級まで増光し、主核C核(9.5 等級)より明るくなった.4月中旬になって,B核から分離した新しい核AQ核が 観測された.このため,B核のその頃の増光は,B核がAQ核に分裂したとき,一時 的に明るくなったものであろう.また,G核も月末には12等級まで増光してきた. 一方,主核C核の増光は鈍く、この状況が続けば、接近時の光度は5等級どまりと なるだろう.4月中旬には,B核の増光も止まったようで,やはり4等級どまりと なるだろう.なお,4月下旬にB核が,また増光したという情報がある.B核から の新たな分裂核が生まれるかも知れない.B核の動向には,今後も注意が必要で ある.  山本速報2510続いて,月明の影響を受けない2006年5月11日03時JSTと月明の なくなる5月24日03時JSTの59個の核の位置を図1と図2に示す.これらの図では, 各々の核の尾の実長をC核が0.05 AU,B核が0.025 AU,G,AQ,AS核が0.02 AU,J, L,N,R核が0.015 AU,H,Q,Y,AA,AG,AN,BI核が0.01 AU,その他の核が0.005 AUとして描いてある.ただし,実際には,このような長い尾よりも,地球に接近 したため,大きく拡散したコマが見られるであろう.なお,天文ガイド「彗星の ページ(p.162)」に5月12日と23日の同様の図があるので,参考にして欲しい. 図2は,省略した.  C核が地球にもっとも接近するのは,図1の時刻(午前03時)の約1.5日の5月 12.5日UTで,接近距離は0.0786 AU.表には,C核の接近日における他の核の離角と 位置角,そのときの地球からの距離と予報光度,各々の核の地球接近日とその距離 を示した.これらの核の中で,AT〜AFまで11個の核は,C核より東側(運動方向側 )に位置する.その他の47個の核は,西側に見えることになる.59個の核の中で, 地球にもっとも接近するのはAX核で5月17.5日に0.0508 AUまで地球に接近する. C核の接近日には,AX核は,C核から北西の方向に約45oも離れて見える(ただし, 17等級). 2006年5月12日03時JST 地球との 核 離角/PA 距離 光度 移動量/PA 最接近日と接近距離 No 。 。 AU m1 , 。 UT AU AT 8.9/138 0.088 15.8 341.8/112 May 11.3 0.0878 AS 7.6/138 0.086 12.7 347.6/111 11.3 0.0864 BA 6.2/139 0.085 16.9 354.1/111 11.5 0.0849 BD 6.2/138 0.085 18.9 354.6/111 11.5 0.0847 AV 6.0/139 0.085 17.5 355.0/111 11.5 0.0846 AZ 5.4/139 0.084 15.9 358.1/111 11.8 0.0839 BC 3.6/138 0.082 16.4 365.6/111 12.0 0.0821 AP 3.5/139 0.082 15.6 366.0/111 12.0 0.0820 AR 1.5/136 0.080 17.1 374.2/110 12.3 0.0800 BE 1.2/137 0.080 17.5 374.9/110 12.3 0.0798 AF 1.2/136 0.080 15.8 375.1/110 12.3 0.0797 C 0.079 5.5 379.3/110 12.5 0.0786 BF 0.9/326 0.078 17.9 382.5/110 12.5 0.0778 BB 2.0/320 0.077 15.8 385.9/109 12.8 0.0769 Q 12.0/319 0.071 14.8 406.7/105 14.0 0.0691 AW 12.7/319 0.071 15.2 407.4/104 14.0 0.0686 P 14.4/319 0.070 15.3 408.4/103 14.3 0.0675 AO 14.5/319 0.070 16.5 408.5/103 14.3 0.0674 B 15.2/319 0.070 4.8 408.9/103 14.3 0.0669 AQ 15.2/319 0.070 11.8 408.8/103 14.3 0.0669 G 18.3/319 0.069 7.8 408.3/100 14.8 0.0649 AU 18.3/319 0.069 15.8 408.4/100 14.8 0.0649 J 18.9/320 0.069 13.3 408.3/100 14.8 0.0646 R 19.9/319 0.069 12.8 407.4/ 99 14.8 0.0639 K 20.6/320 0.069 15.2 406.9/ 98 15.0 0.0635 S 20.6/320 0.069 15.6 407.0/ 99 14.8 0.0635 M 21.3/319 0.069 15.3 406.0/ 98 15.0 0.0631 AM 21.3/319 0.069 15.9 406.0/ 98 15.0 0.0631 N 21.5/320 0.068 13.8 405.7/ 98 15.0 0.0630 Z 21.5/319 0.068 16.5 405.8/ 98 15.0 0.0630 H 21.7/319 0.068 14.2 405.6/ 98 15.0 0.0629 AN 22.4/320 0.068 14.9 404.7/ 97 15.0 0.0624 L 22.7/320 0.068 13.6 404.4/ 97 15.0 0.0623 AE 23.0/320 0.068 16.0 403.8/ 96 15.3 0.0621 AL 24.8/319 0.068 15.5 400.5/ 95 15.3 0.0610 AK 25.2/320 0.068 15.1 399.7/ 94 15.5 0.0608 W 25.7/320 0.068 16.0 399.0/ 94 15.5 0.0605 X 26.9/320 0.068 15.8 395.9/ 92 15.5 0.0598 BH 27.1/320 0.068 18.7 395.5/ 92 15.5 0.0598 AH 27.3/320 0.068 15.6 394.9/ 92 15.5 0.0596 BI 28.1/319 0.068 13.9 392.7/ 91 15.8 0.0592 AD 28.6/320 0.068 15.9 391.5/ 91 15.8 0.0589 BJ 28.8/320 0.068 16.7 390.9/ 90 15.8 0.0588 AC 29.2/320 0.068 15.3 389.7/ 90 15.8 0.0586 AJ 29.3/320 0.068 15.6 389.6/ 90 15.8 0.0586 AB 29.4/320 0.068 15.1 389.0/ 90 15.8 0.0585 AI 29.9/320 0.068 15.5 387.6/ 89 16.0 0.0582 BG 30.2/320 0.068 17.6 386.6/ 89 16.0 0.0580 AY 30.6/320 0.067 15.1 385.4/ 88 16.0 0.0578 Y 31.1/320 0.068 13.1 383.6/ 88 16.0 0.0576 T 31.6/320 0.067 15.9 382.4/ 87 16.0 0.0573 BK 32.8/320 0.068 17.9 377.6/ 86 16.3 0.0567 BL 32.9/320 0.068 17.2 377.3/ 85 16.3 0.0566 BM 34.0/320 0.068 16.4 373.3/ 84 16.3 0.0560 U 35.1/320 0.068 15.3 369.4/ 83 16.5 0.0555 AG 35.5/320 0.068 14.2 367.4/ 82 16.5 0.0553 V 36.1/320 0.068 16.0 364.7/ 81 16.5 0.0550 AA 36.6/320 0.068 14.5 362.3/ 80 16.8 0.0547 AX 44.8/320 0.069 15.8 320.7/ 67 17.5 0.0508 彗星は、その近日点通過がC核より遅れるほど、地球に接近する。もし,仮にAX 核よりさらに近日点通過が遅れた核が存在するならば、その核は、より地球に近づ くことが予想される.このため、それらの破片からの流星雨も期待できるかも知れ ない.C核がもっとも近づくときの明るくなると思われる核のC核からの離角は、表 のとおり大きく,明るいすべての核を同時に撮影することは困難であろう。しかし, 5月24日の朝は,図2のとおり,すべての核の地球接近が終了し,各々の核は, 見かけ上,近づいて見えることになる.なお,地球に接近した観測効果の影響で, 突然,明るい核が出現する可能性もある.また,分裂核が集まった領域が明るく見 える可能性もある.5月の接近時には,各々の核を結ぶ線上には,特に注意を払う ことが必要である.  この彗星の関連記事を月刊誌「星ナビ」と天文ガイド「彗星のページ」に執筆し たので,お読みいただきたい.  下のB核の画像は,5月4日にセレストロン10-cm f/6.5屈折+デジタルカメラ( 20秒露光)で洲本で撮影されたもの.小口径であるためから,大望遠鏡の画像には かなわないが,その様子はわかるだろう(この画像は,発行時に追加された). JSGA Web News No. 69 2006 May 2 日本スペースガード協会 (c) Copyright JSGA 2006 中野 主一

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