小惑星ニュース - JSGA Web News No.162 -
アテン型特異小惑星2014 LY21の接近  今年は,「天文年鑑2015」に『NEOの接近』を書くことができた.ただし,ページ数が 限られていたため,以前の内容を大幅に手直しした.その中で ●昨年度の接近  昨年度(2009年9月〜2010年8月)に内惑星(月を含む)に0.0010 AU(約15万Km)以下 に接近した小惑星を表2に示す. <表2>. 昨年度,15万Km以内に接近した小惑星(2013年9月〜2014年8月) (内惑星に0.001 AU以下まで接近した小惑星) 接近日(JST) 接近天体 惑星 接近距離 年 月 日 AU 2013 11 29 2013 WH25 地球 0.00090 2013 12 12 2013 XS21 地球 0.00049 2013 12 24 2013 YB 地球 0.00018 2014 1 2 2014 AF5 地球 0.00064 2014 1 2 2014 AF5 月 0.00062 2014 1 10 2014 AG51 地球 0.00088 2014 3 7 2014 EC 地球 0.00041 2014 3 30 2014 GY44 月 0.00025 2014 4 3 2014 GC49 地球 0.00076 2014 5 8 2014 JR24 地球 0.00071 2014 5 11 2014 JG55 地球 0.00068 2014 5 29 2014 KC45 地球 0.00059 2014 6 4 2014 LY21 地球 0.00011 2014 6 23 2014 MH6 月 0.00096 2014 8 32 2014 RA 地球 0.00038 2014 9 8 2014 RC 地球 0.00027 2014 9 8 2014 RC 月 0.00084        注.2014 AAは省かれている.  表2を見るとわかるとおり,表1と異なって,15万Km以下に内惑星に接近した小惑星は, すべて地球への接近である(注意.実際には,他の内惑星にも接近しているものが多数あ るのだろう).これは,まだ未知の新小惑星が地球に近づいて,発見されていることによ る.このことは,表にある仮符号を見れば,地球へ0.001 AU以下に接近した小惑星のすべ てが,新しく発見された小惑星であることがわかるだろう.接近小惑星は,その発見後に 地球に最接近するだけでなく,発見前に地球に最接近していることもある.表にある接近 距離は,もっとも,接近したときの日付と距離である.なお,表1と表2の接近距離は,軌 道要素を何回か変更した軌道からの計算のため,惑星に極めて接近する小惑星の接近距離 を計算するとき,その誤差が大きくなることに注意して欲しい. と前年度のNEO接近を紹介した.  表2の中の2014 LY21の接近について,小惑星センターから提供されている軌道要素の桁 数では,精密な計算ができないため,この小惑星の軌道の再計算を行ない,小惑星の接近 状況を調べた.  この小惑星は,レモン山サーベイで2014年6月2日09時59分UTに発見された20等級のアテ ン型小惑星で,同サーベイでは,発見後,わずかに1時間の間,11時04分まで追跡され11個 の観測が得られた.他からの観測の報告はなかった.  これらの観測から計算された軌道は以下のとおりで,小惑星は,2014年6月3日18時44分 に地心まで0.00008 AU(約1万2000-Km)まで接近した.小惑星の標準等級はH=29.4等と 暗くその直径は4.5-mほどと推測される.接近時,小惑星は12等級まで明るくなったはずで ある.  なお,わずかな観測から決定した軌道は次のとおりとなる.但し,軌道には大きな誤差 があるだろう. 2014 LY21 Epoch 2014 June 2.0 TT = JDT 2456810.5 MPC M 202.86592 (2000.0) P Q n 1.68359651 Peri. 348.78404 +0.46506199 -0.88517085 a 0.6998055 Node 73.50047 +0.81333478 +0.42106931 e 0.4717729 Incl. 0.82353 +0.34957672 +0.19792222 P 0.59 H 29.4 G 0.15 U 8 Residuals in seconds of arc 140602 G96 0.1- 0.1- 140602 G96 0.1+ 0.0 140602 G96 0.6- 0.0 140602 G96 0.2- 0.0 140602 G96 0.3- 1.4+ 140602 G96 0.2+ 0.1- 140602 G96 0.8- 0.3+ 140602 G96 1.1- 0.6+ 140602 G96 0.5+ 0.2- 140602 G96 0.1+ 0.1- 140602 G96 1.5- 0.4+ 軌道図は,次のとおりで,小惑星の軌道は,ほぼ,地球の軌道の内側にあり,その遠日点 を通過して,降交点ふきんで地球に接近した. ●地表面への接近  その地球への衝突状況を下の図に示した.小惑星は,6月3日18時UT頃に南鳥島南方2万 2600-Kmを通過し,北大平洋を北上して,18時36分にはシベリア上空7,000-Kmを通過し, ほぼ,北極点近くのグリーンランドの北,西経26゚12',北緯+85゚30'の上空,6,110-Kmを 通過して,大西洋に抜け南下して行った.その際の地表面速度は11.7-Km/sであった. JSGA Web News No. 162 2014 November 16 日本スペースガード協会 (c) Copyright JSGA 2014 中野 主一

Web News Index