[日本スペースガード協会]

チェサピーク湾に衝突クレーター


会員の祖父江様からの情報です。
最初に、古宇田氏(地質調査所)のコメントを掲載します。

*1999年7月17日受付


古宇田氏(地質調査所)のコメント

http://www.usgs.gov/public/press/public_affairs/press_releases/pr864m.html を見た限りでは、「直経90km程度」や「3500万年前」はまだ確定していないよ うですが、仮にそうだとすると、大変面白いことになるでしょう。

1)3500万年前は、ロシア最大のポピガイ・クレータ(直径100km)の衝突推 定年代と同じ(少なくとも発表者の脳裏には、この年代があったはず)。
2)3500万年前は、始新世の末、プリアボニアン期後期の大量絶滅の時代であり 、新生代最大の絶滅の一つに当たる。
3)小惑星衝突の2600万年周期説では、恐竜絶滅(6500万年前)後の最初の 周期3900万年前から400万年後ということになり、離れ過ぎとみるか、その程 度の幅とみるか、周期が関係ない証拠なのか、いずれにせよ、興味深い。

詳細は、あすてろいど27号の拙文を後参考に。なお、米国地質調査所ばかりでなく 、世界の地質調査所でも、海岸地域の井戸掘りと塩水・淡水の境界(塩淡境界)の研 究が盛んで、同様の発見がまだまだ期待されると思います。そういう前知識さえあれ ば、ですが。地下にクレータがあると、割れ目をつたう地下水の流れや水を保存する 貯留層が期待できるのかも知れませんね。もう一つの地下天文学...

蛇足ながら、U.S. Geological Survey は、「米国地質調査所」と訳していただくよ うお願いします。


以下は祖父江さんからの情報です。

(1)概要

アメリカの地質調査局は7月7日、約3500万年前にチェサピーク湾の入り口に 直径数キロメートルの巨大な岩が衝突し、約90キロメートル(56マイル) のクレータを生成し、このクレータは地下120メートルから360メートルの 深さに埋もれていると発表した。図によればこのクレータは内側リムと外側 のリムの2重構造で大きなクレータである。このクレータの近辺で生じてい る地震、塩分を含む井戸水等の現象をこのクレータ説で説明できるとしている。


(2)Deep Impact"in Chesapeake Bay;チェサピーク湾の「Deep Inpact:深い衝撃」。
新聞発表:合衆国内務省米国地質調査局1999年7月6日。
http://www.usgs.gov/public/press/public_affairs/press_releases/pr864m.html

<要約>

もう1つの隕石大惨事の映画(Deep Impactという題名の映画)ではないが、 しかし何かがチェサピーク湾で大きな印象を残した。  「およそ3千5百万年 前に巨大な岩などが大西洋に激しくぶつかり、それが爆発して、 現在のチェ サピーク湾の入り口の浅い海底に幅90Km(56マイル)の穴が出来た」、 と米国地質調査局( USGS ) Powars氏 が語った。 「衝撃の力は 大気中に莫 大な量の破片を排出し、ブルーリッジ山麓の近くまで巨大なtsunamis(津波) が繰り返し打ち寄せた。 この衝撃は地下120メートル(400フィート) から 360メートル(1,200フィート)の範囲で砂や沈泥と粘土の下に埋 もれているクレータを 残した。USGSは他の委員会と共同でその地域に与えた 衝撃クレータの影響について一連の 報告書の一環としてこの事を最初に公表 した。  「この衝撃クレーターの進行中の分析の結果が情報の富をもたらすで あろう」、と Powars が言った。「それは合衆国でこれまでに発見された最大 のクレータで、かつ世界的に記録 された海洋性の衝撃クレータ少数い1つであ る。  このクレーターの発見は、この地域で注目されていた塩辛い地下水、 クレーター周囲の 周辺地震や平均海面の異常な上昇など、多くの異常な現象を 説明するに役立った 。 「何百万年も前に地球と衝突した外宇宙からの物体はそ の湾岸地域で、塩辛い地下水の 原因であると思われる」と Powars が説明した。 バージニア州の「内陸くさび形の塩水域」はよく知られているが、以前は説明 出来ない現象であった。隕石などの衝撃は帯水層のそれを閉込める閉鎖ユニット の「層ケーキ」を ゆがめかつ分断した。結果 クレーターの外側のリム(縁) の外側でより新鮮な、より低い塩分 の水、外側のリム(縁)の内側で塩辛い地 下水を隔てる境界線と一致するように思われる。  公表された報告書は外側の リムの場所と属性が記載されており、新鮮な地下水脈を 発見するために利用さ れよう。例えば南部のヨーク - ジェームズ 半島の地質学の骨組みを  再評価 したことで、そこの地下水脈システムを理解する第一歩となった。  水を保持す る容器(帯水層等の地下構造)とその材質について記述し、 次のステップで 既 存のコンピュータ地下水流モデルを修正することである。このモデルは、大量の 地下水の 汲み出しを認可するような、バージニア州の地下水資源の管理に使用 される。

<原文>

News Release
U.S. Department of the Interior
U.S. Geological Survey
July 6, 1999.
General Contact: Martha Erwin (804) 261-2623 (mlerwin@usgs.gov)
Technical Contact: David Powars (804) 261-2619 (dspowars@usgs.gov)
http://www.usgs.gov/public/press/public_affairs/press_releases/pr864m.html.
"Deep Impact" in Chesapeake Bay.  No, not another meteor disaster movie, but something left a big impression in the Chesapeake Bay.  "About 35 million years ago a huge rock or chunk of ice slammed into the Atlantic Ocean and blasted a 56-mile-wide hole in the shallow ocean floor near what is now the mouth of the Chesapeake Bay," David Powars, hydrologist with the U.S. Geological Survey (USGS) said. "The force of the impact ejected huge amounts of debris into the atmosphere and spawned a train of gigantic tsunamis that probably reached as far as the Blue Ridge Mountains. This impact left behind a crater that is now buried under 400 to 1,200 feet of sand, silt, and clay."  Scientists with the USGS and the Virginia Department of Environmental Quality have recently discovered the Chesapeake Bay impact crater. The USGS, in cooperation with the Hampton Roads Planning District Commission, has just released the first of a series of planned reports describing the effects of the impact crater on the geology and hydrogeology in the region.  "Ongoing analysis of this impact crater will yield a wealth of information," Powars said. "It's the largest crater discovered so far in the United States, and it's one of only a few oceanic impact craters that have been documented worldwide. The Chesapeake Bay impact crater is shallower and more accessible than the much larger and older one off the coast of Mexico that most scientists believe led to the extinction of the dinosaurs."  The discovery of the Chesapeake Bay impact crater helps explain a number of unusual features that have been noted in the region, including salty ground water, earthquakes around the crater's perimeter, and an unusual rate of sea-level rise.  "The object from outer space that hit the Earth millions of years ago appears to be responsible for the salty ground water that we find at depth over a large area in the bay region," Powars explained.  Virginia's "inland saltwater wedge" is a well-known but previously unexplained phenomenon. The impact of the comet or meteorite deformed and broke up the "layer cake" stack of aquifers and confining units. The outer rim of the crater seems to coincide with the boundary separating salty ground water inside the outer rim from fresher, lower salinity water outside the outer rim. The report documents the location and nature of the outer rim. This information can be used to determine where fresh ground water is likely to be found.  The report presents a reinterpretation of the lower York-James Peninsula geologic framework and is the first step in understanding the ground-water flow system.  "In other words," said Powars, "first you have to describe the container and the material holding the water before you can begin to describe how the water flows. The next step will be revising existing computer ground-water flow models." The computer models are used to guide the management of Virginia's ground-water resources, such as the permitting of large ground-water withdrawals.  Copies of U.S. Geological Survey Professional Paper 1612 "The Effects of the Chesapeake Bay Impact Crater on the Geological Framework and Correlation of Hydrogeologic Units of the Lower York-James Peninsula, Virginia" by David S. Powars and T. Scott Bruce, are available for viewing at university, state, and government depository libraries and at the USGS Virginia District office, 1730 East Parham Road, Richmond, VA 23228 (804) 261-2600. Copies may be purchased from the USGS, Branch of Information Services, Box 25286, Federal Center, Denver, CO 80225.  More information about water-resource programs in Virginia may be found at . As the nation's largest water, earth and biological science and civilian mapping agency, the USGS works in cooperation with more than 2000 organizations across the country to provide reliable, impartial, scientific information to resource managers, planners, and other customers. This information is gathered in every state  by USGS scientists to minimize the loss of life and property from natural disasters, to contribute to the conservation and the sound economic and physical development of the nation's natural resources, and to enhance the quality of life by monitoring water, biological, energy, and mineral resources. 


(3)Space collision helped create Chesapeake Bay, leaves drinking water salty.
宇宙からの衝突がチェサピーク湾を創造するのに役立ち、飲料水を塩辛くした。

ロバート・ロイ Britt 記者、   explorezone.com、07.07.99
http://explorezone.com/archives/99_07/07_chesapeake_impact.htm

<要約>

宇宙からの巨大な物体が3千5百万年前に地球に激しくぶつり、合衆国で 発見 された最大のクレーターを形成したと研究者が今日語った。 激変をもたらす衝 突で幅90キロメートル(56マイル)のクレーターは破片の雲を 空高く舞い 上げて、最高600メートル(2,000フィート)の破壊的なtsunami(津波) を発生させて現在のチェサピーク湾の入り口を破壊した。

     衝撃は今でも地震を発生させ、かつ塩辛い地下水で其の地域住民200万人に 難儀を 経験させている不安定なクレータのリムを残した。研究者は衝突物体が、 すい星であるか 小惑星がの確信は無いが 、幅はおよそ3Km(2マイル)か5Km (3マイル)と推定している。  Powars氏はまた衝突地点が海の浅い部分なので、 2段のくぼ地を作ったが長い年月 が経過したので其の穴は埋まっていると、語った。  Powars氏は衝突の規模を、世界中の核兵器を一個所に集めて、同時に爆発させた ことにたとえた。   衝撃の力は大気中に莫大な量の破片を排出し、多分ブルーリ ッジ山まで到達する巨大な tsunamis (津波)を発生させた。現在クレータは120 メートルから360メートルの厚さの砂、沈泥と粘土で埋めら れていると 付け加え た。1993年に石油会社の地震のデータを調査したパワーズと同僚がその クレ ータの存在を推測し、後の研究でクレーターが衝撃によって生成されたことを確 認した。   途方もなく巨大な tsunami (津波)。 Powars はやってくる弾道体が 60メートル(200フィート)程、海底を持ち上げたと言った。 巨大なパド ルのように、地上の衝撃で生成される彫刻のような多種多様さと異なるクレータ ーを作って、 この巨大な波を、四方八方の外側に、そして前後に進ませたであろ う。  「巨大な穴であるので海からの水が激流となって内に外に動いたはずであ る」、と更に 波が種々の位置で1.6Km(1マイル)かそこらでそして外にジャ ンプするぎざぎざの、そして不規則な 外側のリムを形成したとPowars 氏が説明 した。 Powars氏は「あそこは真の乱雑があると」、と 言った。  そして、興 味深い事に、古代の海の化石と他の破片が前の穴の中に移って深く埋められた。 そこには乱雑全体を生起させた物体からの沢山の残骸物が存在しないのである。 それの大部分が蒸発 したように思われる。   飲料水にはまだ影響が残っている。 不規則で不安定な外側のクレータのリム(10から20マイル程バージニア州 の内側に張り出している)の  周辺で、塩辛い地下水や地震など異常な現象の疑 問に答えが出始めている。  Powars氏は、クレータリムの不安定性は 基礎の 地殻が衝撃で「めちゃくちゃに破壊された」事で その地域の高い地震の活動を説 明できるかもしれないと言った。 リムは一様に揺れて地震波を 引き起こしいる。

 リムの内側で塩辛い地下水と外側の新鮮な水の間の境界線 とリムが同じ であり、 従来専門家は、 飲料水の中に頻繁に塩水が混入する事が過剰な汲み出しが原因と していた。新しい説明は成功裏に 飲料に適した水を捜すためにクレータリムの外 で井戸を堀るのに役立っている。   高い、衝撃の活動。

研究者は小惑星あるいはすい星によって起因する、同じ規模の巨大な衝撃は10 万年かそこらに  1回発生すると言う。 アリゾナのマイル規模の隕石クレータの 様な小さな物体は6,000年に1回か それ以下の頻度で我々の惑星に衝突すると 考えている。  ニュージャージー沖のクレータや世界中の他のクレータで 3千5 百万年前のチェサピーク湾の衝撃と 同時期と年代が決定されいる。この頃、地球 上は安全な時期ではなかったかもしれないと、Powars が 語っている。更に研究者 が宇宙における地球の位置に関連し、高い衝撃活動の周期があるかもしれ ないこ とを理解し始めていると付け加えた。  メキシコ、ユカタン半島沖の、巨大でもっ と古いクレータが大型恐竜を絶滅させたと多くの科学者が 考えている。 しかし、 クレータの研究は比較的深いところにあるから難しいが、チェサピーククレータが 浅瀬にあるので、其の調査が比較的楽であったと語った。 「この進行している衝 撃クレータの分析が情報の富をもたらすであろう」と同氏は語った。

<原文>

Space collision helped create Chesapeake Bay, leaves drinking water salty. By Robert Roy Britt, explorezone.com  07.07.99. A huge object from space slammed into Earth 35 million years ago, carving the largest  crater ever found in the United States, researchers said today. The 56-mile-wide crater was gutted from what is now the mouth of Chesapeake Bay in a cataclysmic collision that kicked a cloud of debris high into the atmosphere and spawned devastating tsunami waves up to 2,000 feet high.

    The impact left a now-buried, unstable crater rim that still generates earthquakes and that holds clues to salty groundwater woes experience by some 2 million people living in the region.  The incoming comet or asteroid -- researchers aren't sure which it was -- was about two or three miles wide. It created a two-tiered depression, like an inverted sombrero, in what was then a shallow part of the ocean, said David Powars, a hydrologist with the U.S. Geological Survey.   "All of a sudden you had this giant hole," Powars told explorezone.com. "Through the 35 million years since it happened the hole has been filling in."    Over time, rivers in the region turned to flow into the crater before going out to sea, which along with glacial advances and retreats carved out Chesapeake Bay, Powars said. T he bay, he said, is no more than a "drowned river system."    The impact.

"It's an incredible collision that we're talking about," Powers said. He likened it to putting   all the world's nuclear weapons in one spot and detonating them simultaneously. "The force of the impact ejected huge amounts of debris into the atmosphere and spawned a train of gigantic tsunamis that probably reached as far as the Blue Ridge Mountains."   The crater is now buried under 400 to 1,200 feet of sand, silt, and clay, Powars said. Its existence was originally suspected in 1993 after Powers and colleagues studied oil company seismic data. The new research confirms that the crater was in fact caused by an impact.    Tremendous tsunami.

Powars said the incoming projectile lifted the ocean floor as much as 200 feet. Like   a giant paddle, this would have sent huge waves traveling outward in all directions and back and forth, carving a crater that is much different than the more evenly sculpted variety caused by impacts on land.  "Because of the giant hole you could have had water from the ocean slosh in and slosh out, " Powars said, explaining that the waves created a jagged and irregular outer rim that jumps in and out a mile or so in various spot.   "You have a real mess in there," Powars said.   And, interestingly, ancient marine fossils and other debris sloshed in and are now buried deep inside the former hole. What isn't in there is a whole lot of debris from the object that caused the whole mess. Most of it seems to have vaporized.    Drinking water still affected. The irregular, unstable outer crater rim -- which extends ten to twenty miles inland in   Virginia -- appears to answer several questions about unusual phenomena in the region, including salty ground water and earthquakes around the crater's perimeter.   Powars said the rim's instability, caused when the underlying Earth's crust was "banged up" during the impact, may explain the high seismic activity in the region. The rim is constantly shuffling and settling, triggering seismic waves.  The rim is also a boundary between salty ground water within the crater's confines and fresh ground water on the outside. Powars said about 2 million people count on the region's ground water, and experts have long worried that frequent intrusions of saltwater into the drinking water were caused by overpumping. Powers said the new explanation has helped utility companies dig wells outside the crater rim to more successfully search for potable water.    High impact activity.

Researchers say similarly large impacts caused by asteroids or comets occur every 100,000   years or so. Smaller bodies, like the one that dug out the mile-wide Meteor Crater in Arizona, crash into our planet every 6,000 or less.  Powars said a crater off the coast of New Jersey and others around the world have been dated to the same time period as the Chesapeake impact, indicating that 35 million years ago might not have been a very safe time on Earth. He said researchers are beginning to understand there may be cycles of high impact activity related to Earth's position in the cosmos.  A larger, older crater off the coast of the Yucatan Peninsula in Mexico is thought by many scientists to have killed off most of the larger dinosaurs. The crater is difficult to study, however, because it is in relatively deep water.   Powars said the Chesapeake crater is in shallower water and will be easier to study.  "Ongoing analysis of this impact crater will yield a wealth of information," he said.


  (4)訳者の所感  

最近地下に埋没されているクレータの研究の進展は素晴らしい物がある。 6500万年前の チェクシブルクレータやここで紹介されているチェサピーク湾 のクレータは其の代表例であ ろう。  今後も未発見のクレータが多数発見される事を期待したい。