編集室から 


 今年は夏に涼しい日が多く、秋になってから暖かい日が続いたため、あまり美しい紅葉は期待できないと思っていましたが、それでもこの頃はまわりが急に色づいてきました。「あすてろいど」の今年の最終号(通算24号)をお送りいたします。編集担当の私の個人的事情により、発行が少し遅れてしまったことをお詫びいたします。

 今回もなかなかバラエティに富む内容となりました。スペースガード協会は地球に接近する小惑星の観測と研究を主たる目的とする団体でありますが、機関誌「あすてろいど」ではできるだけ広範囲の話題を包含し、地球への天体衝突問題をできるだけ広い視野から考察する材料を提供できればと考えています。ともするとこの問題は「世紀末現象」や「カタストロフィックな予言」などといったものに関連させて、興味本位に扱われがちです。しかし、天体衝突という現象は別に特異なものでもなく、一瞬にして地上の生物が滅亡する、などということが起こるわけではありません。地球を含む惑星の進化、また地上の生物の進化などを促してきた大きな要因の一つとして、今後大いに研究を発展させるべき対象の1つなのです。。

 前置きが長くなりましたが、この号では4月に宇宙科学研究所からヒューストンのジョンソン宇宙センターに移られた矢野さんから、2つの原稿を頂きました。一つは宇宙飛行士であり、当協会の会員でもある土井隆雄さんへのインタビューです。これは次号と二回にわたって連載されます。大変に緻密なインタビューの収録、明解な文章、および親切な註で、土井さんの真情を興味深く、誠実に伝えています。ヒューストンでの生活を綴った「Houston, I have a problem.」(これは毎号連載されます)とともに、大変に楽しく、内容のある記事となっています。

 秋山さんから、木星の衛星エウロパの生命探査に関する特別寄稿を頂きました。巧みな構成と機知に富んだ文章で、現在進められている研究の概要を大変に興味深くまとめています。

 またこの号には会員の長谷川さんと加藤さんから投稿をいただきました。どうも有り難うございました。長谷川さんのご質問にお応えして、「クレーター訪問記」の続報を由紀さんに書いていただきました。このような応答が多くなってくると、「あすてろいど」はもっといきいきと、楽しくなってくるのではないかと思います。会員の皆様からの投稿を編集室一同お待ちしています。

                 (写真は中国、大連。 松島)


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