美星スペースガードセンターからの報告


     スペース・ガード天文台の建設状況

                 磯部 しゅう三(JSGA会長/国立天文台)

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スペースガード天文台(仮称)の建設が始まったことは前号で記した。それから3カ月、若干予定より遅れ気味ながら着々と進んでいる。建物は9月2日に美星町の現場で出来具合の検証を行った。写真1に示したように、まだ足場はあるが、建物全体が立ち上がり、ドームもスライディング・ルーフも取り付けられた。これから、内装などの作業を10月末までに終える予定である。しかし、観測精度を上げるために、望遠鏡の入るドームとルーフ内の昼間の室内温度を夜間の外気温に保つための温度制御装置の取り付け、テストなど、まだ微妙な作業が残されている。
一方、望遠鏡とCCDカメラの完成テストを9月上旬にIowa Cityで行う予定であったが、残念ながらCCDカメラの製作が遅れて、結果的には11月上旬にずれ込んだ。50cm望遠鏡の外形は写真2に示すようにほぼ完成している。11月には磯部と吉川が現地に検査に行き、順調にいけば、12月上旬に美星町で最終調整が行われることになっている。
1m望遠鏡と10個のCCDカメラの製作も進んでおり、予定通りであれば来年3月上旬にIowa Cityでの検査ということになる。
次号ではほぼ完成した建物と50cm望遠鏡の報告をぜひしたいと思っている。

      図1. 美星町で建設の進む天文台建屋。外形がほぼ仕上がった。

 図2. 外形が完成した50cm望遠鏡(8月30日現在)

                                           


 

                                                 「美星スペース・ガード・センター」
                     −天文台の正式名称決まる−
                         磯部 秀三(国立天文台) 

美星町に建設している、私達がスペースガード天文台と仮称していた施設の名前が内定した。日本宇宙フォーラムと科学技術庁、宇宙開発事業団の各担当者が美星町の光学観測施設と上斎原村(かみさいばらそん)のレーダー観測施設の名称に関して検討を続けていたが、日本スペースガード協会が提案していた美星スペース・ガード・センターと上斎原スペース・ガード・センターとすることになった。美星町の方はNEOとスペースデブリの両方を観測するが、上斎原村の方はレーダーでのスペースデブリを観測する。スペース・デブリの観測は両施設で共同して観測することがあるので、両者の名称を統一するべきであるとの議論が重要な鍵となった。スペースガードの名前は当協会の名前と同じであるが、言葉の上では宇宙空間にある物体から守るという意味で、その物体が人工的なスペースデブリと自然物のNEOの差だけである。名前も大切であるが、より大切なのは今後の観測において成果を収めることであるとの認識で関係者の了承が得られた。今後共、この名前の施設に対し、皆さまの強い支持をお願いいたします。                                                                    



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