美星スペースガードセンターからの報告


  美星スペースガードセンターの観測システムについて

                           吉川 真(宇宙科学研究所)

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 美星スペースガードセンターでは,口径1mと0.5mの2台の望遠鏡を使って小惑星とスペースデブリの観測を行う。口径1mの望遠鏡は視野が約3度角,0.5mの方は視野が約2度角とかなり広視野になっていることが特徴である。また,望遠鏡に取り付けるCCDカメラは,2K×4K(およそ2000×4000ピクセル)のCCDチップを用いたものになるが,1m望遠鏡にはこのチップを10枚,0.5m望遠鏡には2枚使ったCCDカメラが取り付けられる予定である。このような2組の望遠鏡システムによって,観測を行うことになる。(実際には,さらに試験観測用として口径25cmの望遠鏡も設置される。ただし,これは全体のシステムには組み込まずに,マニュアルで操作することになる。)

 観測の方法であるが,1m望遠鏡システムの方は主に天体(小惑星やスペースデブリ)の発見のための観測を行い,0.5m望遠鏡の方は,天体の追跡観測を主に行うことにる。そのために,0.5m望遠鏡の方は,追尾速度も1秒間に5度とかなり高速になっている。もちろん,小惑星はこのように速くは移動しないが,スペースデブリの観測については,このような追尾速度が必要になる場合がある。また,小惑星とスペースデブリのそれぞれの観測時間の割り当てであるが,夕方や明け方の1時間ほどは低軌道のスペースデブリの観測を行うこととし,夜間は小惑星とデブリの観測を交互に行うことになる。(例えば小惑星45分間観測し,次にデブリを15分間観測する。これを連続的に繰り返す,など。)た
だし,特別な事態(たとえば地球に接近中の小惑星があるとか,近いうちに落下する衛星があるなど)があるときには,それに対応したプログラムで観測を行うことになろう。
 このような2組の望遠鏡システム(望遠鏡本体とCCDカメラ)の制御に加えて,時刻をモニターするためのGPS受信機や気象モニター,そしてドームやスライディング・ルーフの制御が必要となる。さらに,撮影されたデータの処理も即座に行わなければならない。そのためには,多数のコンピュータに加えてそれらすべてを制御しデータ解析をするソフトウエアが必要となる。

 ソフトウエアとしては,Clear Sky Institute のObservatory Control and Astronomical Analysis System (OCAAS)を用いる。OCAASは,望遠鏡システム全体(望遠鏡,CCDカメラ,フィルター,フォーカス,ドーム,気象,時刻など)の制御および,撮影された画像データの処理(補正,位置測定,光度測定など)を行うことができる。OCAASについての情報(マニュアルも含む)は,インターネットのホームページから取得できる。(ホームページのURLは,http://clearskyinstitute.com/ である。)

 OCAASは,望遠鏡システムについて汎用的なものとして作られているが,これを美星スペースガードセンターに適合するように改修することになる。特に,小惑星やスペースデブリの観測においては,天体のイメージが点ではなくて線状に伸びてしまうことがある。このような観測についても対応できる必要がある。また,小惑星やスペースデブリ特有の観測モードにも対応しなければならないし,膨大な量のデータを処理できる能力も必要である。さらに,より高精度に位置や時刻の計測ができるようなソフトにしていくことも重要である。今後,テスト観測を行いながら,本格運用に耐えられるようなソフトウエア作りがなされることになる。



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