編集室から


 有珠山の噴火も少し落ち着いてきた感もありますが、なかなか予断は許せないようです。会員で影響を受けられた方がおられなければと思います。今回は幾つかの事情があって編集が少し遅れましたが、そのかわり32ページという増ページになった「あすてろいど」30号をお送りいたします。
 このページは、他のすべての編集がほぼ完了し、ほっとしたところで書き始めます。プリントアウトした原紙をぱらぱらめくりながら何となく書き始めると、筆の動き、いやキーボードをたたくリズムが最も快調になり、アッという間にページが埋まってしまうので、何か物足りない感じです。(書いた内容は別として)編集で大変なのは全体の構成を決めることです。頂いた原稿を整理し、余分な改行やレイアウト、記号などを取り除きます。次に写真のレタッチにかかります。画像としての鮮明さをできるだけ出した上で、グレーカラーに変換し、印刷所のプリンターの特性に合わせてハイライトやシャドウの調整、解像度、画像フォーマットの変換等をします。実は一番手間のかかるのが表です。特にワープロなどでレイアウトされた表は、そのまま使えませんので、作り直すか、プリントアウトしたものをスキャナーでとって、写真として処理するかします。
 これが終了すると、比較的楽しい編集作業になります。各記事のおよその長さを見積もって、とりあえずページを作ります。ここでは各記事がページの最初から始まるようにすること、隙間ができないようにすること、また写真の大きさ、配置など、のバランスを調整します。実は現在の製本の形態では4ページ単位での増減しができないので、苦労するところです。まあ、これらのことは、新聞や雑誌の編集では当然しなければならないことなので、長々と書くこともないのですが、毎回編集で一番大変なことは、実は編集を始める時点で、原稿が全部揃っていないことです。およその予想をして編集したところに、予想に反して長かったり、短かったりした原稿が到着(場合によっては来なかったり)すると大変です。しかし、まあ、このような時に適切に対応できるのが編集者かなとも考えています。そのため、編集室では特別契約したイラストレーターとライターを抱えています。画家のJonaさん、科学評論家やエッセイストの由紀聡平さん、南沢弥生さん、谷山星子さん、・・・。記事の内容、長さを厳密に指定すれば、即座に作成にとりかかって下さるので、いつも本当に頼りにしています。
 というわけで、どうも内輪の話を長々と書いてしまい、また記事の紹介をする余裕があまりなくなってしまいました。今回もでき上がってみると、質的にも、量的にもなかなかのものではないかと自負しています。忙しい中で原稿をお送り頂いた方々に感謝いたします。その中で、しし座流星群に関する大塚さんと矢野さんの原稿、またK‐T境界に関連する古宇田さんと加藤さんの原稿は好対照で興味深いものです。大塚さんは流星群を見に行く場所の選定から、出かけるまでの過程を率直に書かれていますが、これから出かけて見ようという人には参考になるのではないでしょうか。一方、矢野さんは研究の最前線の様子を紹介してくれました。これからのしし座流星群の観望計画は、アッシャーさん達の説に信頼をおいてもいいのではないでしょうか。
 最後に、3月の4日から8日間、JSGAとして初めて企画した「アリゾナクレーター探訪と天体衝突を考える旅」というツアーを行いました。総勢26名の参加があり、クレーターを始め、グランドキャニオン、ローエル天文台、キットピーク天文台などをまわってきました。それは大変に楽しい旅になりました。特にアリゾナクレーターを2時間半ほどかけて一周するリムツアーは印象的でした。帰りの飛行機の中で、感想文などを書いていただきました。(後から原稿を送っていただいた方もおります。)本当はそのまま掲載すべきなのですが、紙面がとても足りません。そこで乱暴にも皆さんの原稿を分断してバラバラにし、再構成してつなぎ合わせ、あたかも1人で書いた原稿のようにしてしまいました。ただ文体などはいじらないようにしたので、ある意味では奇妙な旅行記が出来上がってしまいました。原稿を頂いた方々には本当に申し訳ありませんでした。写真と合わせてお読み頂き、ツアーの雰囲気が何とか伝わることを願っています。      
                  (写真はネパール、エクレバッティ、 松 島)


  30号の目次/あすてろいどHP