英国のNEO問題タスクフォースが報告書を政府に提出


 

 英国の「災害を与える恐れのある地球近傍天体(NEO)」に関するタスクフォースが報告書をまとめた。このタスクフォースは、今年の1月、英国の科学大臣のもとで組織された。目的は、NEOに関する国際的活動に対して、英国が最も有効な貢献するには何をすべきかを政府に勧告すること、そして次の三つの作業を行うことであった。
1.災害および起こりうる危険レベルを確かめること。
2.国際的活動に対して英国が現在何をしているかを明確にすること。
3.1および2の検討に照らして、政府はさらに何をするべきか、この問題を一般の人にどう伝達していくかについて、政府に助言をおこなうこと。さらに、英国国立宇宙センター所長に、2000年中期までに報告をすること。

 まとめられた報告書は全部で56ページからなる、大変カラフルなもので、全体は9章からなる調査のまとめと提言、および様々な年表および参考文献からなる。NEOとは何か、地球に衝突したときの影響、衝突の危険、NEOの観測技術、現在、世界で行われているNEO探索活動と将来計画(日本の美星スペースガードセンターにも少し触れている)、英国における探査活動、危険回避の可能性といった課題について、要領よくまとめられ、最後にこれから何をすべきか、ということで14項目の提案を行っている。この報告書の意味や問題点等については、次号の「あすてろいど」で詳しく議論することを予定している。

 報告書は、この問題に関連する全般的な整理が大変よくできており、NEO問題の優れた入門書にもなっている。下記のホームページからPDFファイルをダウンロードできるので、ぜひ一読をお勧めしたい。

        http://www.nearearthobjects.co.uk/
                                  (松 島)           


  32号の目次/あすてろいどHP