マダガスカルの動物
                    −フォール・ドーファン−

 マダガスカルといえば、誰も関心を持つのが、島で独自の進化を遂げた動植物である。とはいっても、かつて南米に生息したという、何トンもあるナマケモノや象より大きいダチョウなどというようなものを想像してはいけない。マダガスカルでは人と同様に、動物も大変控えめである。近寄ってよく見ると大変不思議な姿をしているが、一般的に小型で、生息するのはジャングルの中であり、やたらに人前にでるような厚かましいことはしない。したがって、これらを見るためには、国立公園や保護区といわれるところを、ガイドに従って忍び足で探索することになる。フォール・ドーファンに近いベレンティ保護区は、見られる動物の豊富さでマダガスカルの代表である。しかし、短期間の旅行者にとっては、どの程度見られるかは運次第ということになる。見られたとしても高い木の枝の間からちらちらだったり、一瞬目の前を通り過ぎたりと、普段このような動物探索をしていない人間にとっては、決して満足できるものではない。


 しかし落胆するにはおよばない。たった一日で、いくつかのマダガスカル特有の動物をまのあたりにし、横っ飛びするさるだって堪能できる、というところがあったのである。その一つがフォールドーファンのさる旅行社が経営するナハンポアナ保護区。ここは動物を放し飼いにしてある自然動物園といった感じであったが、マダガスカルに滞在するときだけ動物愛好家という向きにとっては実にありがたいところである。動物を追いまわして写真を撮り、保護区内のレストランに行けば冷たく冷えたビールで乾いた喉を潤すこともできる。


 ところで、動物は確かに可愛く、印象的である。しかし、それにも増して印象的なものがマダガスカルにはあった。子供達の素朴な笑顔と生き生きとした瞳である。


図上:マダガスカルに生息する最もよく知られたキツネザルである。

図下:素朴で、純真な子供達の笑顔こそハイライトである。