最近のニュースから |
宇宙技術と科学の国際シンポジウム(ISTS) |
磯部 しゅう三 (日本スペースガード協会理事長) |
宇宙技術や宇宙科学の国際会議は毎年数回開催されている。それは、宇宙利用の重要性ばかりでなく、宇宙の平和利用問題や宇宙での安全問題など、多岐にわたる問題があり、また、各国の宇宙機関が積極的に自国の技術や科学を効率的に宣伝しようとしているためでもある。
日本では、宇宙開発事業団、宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所の3機関(この3機関は2003年度中に合体することになっている)の方々が多く加入している航空宇宙学会が主催して、1年おきに上記国際シンポジウムを開催してる。前回は2000年盛岡大会で、次回は宮崎で行われる予定である(寺薗氏の項を参照)。
今年の国際シンポジウムは、5月26日から6月2日まで島根県の松江で開催された。
5月26日にはJSGAの会員でもある土井隆生宇宙飛行士が一般向けに講演し、盛況であったと聞いている。NEOのセッションはなく、スペースデブリのセッションが1時間半あっただけであったが、磯部は1つのセッションの座長をうっかり引き受けていたので出席した。幸い、堀内理事が国際シンポジウムの組織委員の一人であったので、本来1ブース数十万円の使用料を払わなければならないが、展示室の片隅を無料で使い、JSGAのパンフレットを配布できるようにしていただいた。
多量の資料の送り先がなかなか教えてもらえなかったので、磯部がBSGCから車で松江の会場まで運び、何十束の資料を車から会場まで運んだ。残念ながら、無料であるためか、巨大なホールの他の展示コーナから離れ、人通りの少ない所に机を1ついただいただけであったので、なるべく目立つように資料を並べるようにした。
5月29日から梅原理事が来て、積極的に配布してくださったが、半分位の重い資料を持ち帰ることになったのはやむを得なかったかもしれない。
磯部は、5月28日に1日通して開かれた教育のセッションに出席した。各宇宙機関が行っている大学レベル以上向けの宇宙に関する教育開発の話は面白く聞くことができた。その間、座長が磯部の友人である宇宙科学研究所の的川教授の時に無理矢理頼み込んで、5分間でアステロイドキャッチャーB612の宣伝をさせてもらった。
この教育セッションを企画したのは宇宙科学研究所の的川教授と川口教授で、さすがに知恵者であると思った。4つ目のセッションには、松江高等専門学校の生徒を100人ほど呼んで、それまでのセッションの講師に、宇宙に関するなぞなぞを出す中で解説させるというものであった。生徒たちも英語は苦しそうであったが、なんとか質問に答えていたのはすばらしかった。ここでも図々しく、アステロイドキャッチャーB612の紹介をさせたもらったのは当然のことである。
磯部は5月29日夕に展示の仕事を梅原理事に引き継いでBSGCに戻って、翌日の見学ツアーに備えた。当日は、1台のバスで片道3時間近いツアーであったが、BSGCの1時間余りの見学を十分に楽しまれたと思う。特にスペースデブリの観測仲間であるESAのワルター・フルーリー氏やローマ大学のフリッポ・グラッツアニ氏は、BSGCのシステムに感激していた。フルーリー氏のグループはカナリー島にツアイス製の中古の1m望遠鏡を移設し、CCDカメラも製作して静止軌道のスペースデブリのかなり良いデータを出している。一方、グラッツアニ氏は、ローマ近郊に50cm望遠鏡を設置する準備をしている。これらのチームとは、JSGAとしては良きライバルとして協力していきたいと思っている。
良い天気であったので、日本の田舎の風景を十分に楽しんでもらえたのは幸いであった。このような見学会は、今後増えていくであろう。JSGAの会員の見学ツアーもぜひ早く実現させたいものである。
|