ASTEROID
The Journal of Japan Spaceguard Association
Vol. 11, No. 4 November 2002, Founded in May 1992.
 
特集!地球に接近する小惑星
小惑星の地球接近情報をどのように理解すればよいか<注釈>
 
注1  通常、望遠鏡で観測する時は、星の日周運動に合わせて赤経軸を回転させて、星が焦点上に点像で写るようにする。もし、望遠鏡を固定しておくと、星は焦点面上の写真乾板やCCD素子上を移動していって、細長く伸びた像として写る。CCDカメラでは、撮像し終わった画像を各列のCCD素子上で、左から右に順に信号をバケツリレーして、CCD全面の強度分布を求めている。これらの性質を上手く利用すると、星のCCD面上の日周運動による移動の速度に合わせて各列のCCD素子上の信号を転送していくと、読み出された画面上では星像を点像にすることができる。しかも、データは日周運動で動く星空を順次掃いていく形になり、長い帯のような領域のデータを望遠鏡を止めておいても得られる。このような工夫をしたCCDカメラをスキャンニングCCDカメラと呼んでいる。

注2 注1に記したように、通常のCCDカメラでは各素子のデータを次々と素子毎に順送りして読み出す。 しかし、これでは2k×4kという大きなCCD素子では読み出しに時間がかかる(30秒〜60秒位)。
この問題を解決するシステムを開発したのがLINEARプロジェクトを進めるマサチューセッツ工科大学のリンカーン研究所である。 光を集めるCCDの後ろ側に読み出し専用のCCDを取り付け、1回の露出後、全データを一挙に読み出し側に移してしまうのである。これにより、100分の1秒程度のスピードで読み出せるようになり、読み出しにかかる時間を最小にすることができる。

注3 直径1km以上の小惑星の地球衝突は人類絶滅をもたらす可能性があると考えられている。
アメリカのNASAの目下の目標は、このような小惑星を2010年までに90%以上見つけてしまおうというもので、現在のペースであれば、目標の達成は難しくないであろう。

注4 地球に衝突する可能性のある小惑星の衝突確率と、衝突のスケールの関係を図示し、その上で1から10までの記号で危険度を示したのもので、その図は以下に示してある.
51KB
注5 トリノ・スケールでは、一般に誤解を招くというので、衝突までの年数まで考慮に入れたスケール. PS=log10 [P I /( f B × DT)] で示される。P I は衝突確率、DTは衝突までの時間、
そして、 f B=0.03 × E -4/5   Eはメガトン単位での衝突エネルギーを示している。