ASTEROID
The Journal of Japan Spaceguard Association
Vol. 11, No. 4 November 2002, Founded in May 1992.
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後半約4週間は、おもにデザインプロジェクト(DP) と呼ばれている課題を行ないます。参加者が2つの与えられた課題を選択して、調査や議論を通じて問題解決を図り報告書をまとめます(写真2)。本SSPにおけるデザインプロジェクトでは次の2つの選択課題が設けられました。一つは、地球外生命探索のミッション検討 (以下、DP1と略記) で、もう一つは、宇宙技術を利用した人間の健康向上 (以下、DP2と略記) でした。私は DP2を選択しました。
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写真2

写真3
デザインプロジェクト。約50名が一同に話し合いミッションステートメントを定めたあと、いくつかのグループに分かれ、アクションアイテムを決めている最中である。 ロボットコンテスト。東北大の吉田和哉助教授が主催した。手前の高台をスタートし、石の障害物を克服しその向こうにある幅50cmの壁に触れ、スタート地点に戻るための自動走行ロボットを作成することが課題であった。短時間で設計、プログラミング、組み立てを行なうことが要請された。
中間の約1週間は、一日あるいは数日間の短期的な課題に取り組みます。私は、ロボットコンテストに挑戦しました。市販のロボット製作キット(レゴブロックのマインドストーム)を用い、障害物を回避するなどの与えられた課題を克服する機体やプログラムを作成しました(写真3)。
専攻や DP の選択にもよるのですが、様々な場面で、工学技術としては充実して実現させることが十分可能である分野があるにもかかわらずなぜ実現ができないのか、経済面・政策面などを含め大域的な視点で分析して打開策を提案するように要請されました。以下に、具体的にどのような課題にとりくんだのかを紹介していきます。

宇宙政策および宇宙法専攻について
宇宙政策および宇宙法専攻の目的は、現在もしくは将来における民間宇宙活動を推し進めるにあたり、政治家と政策がどのような役割を担うのかを考察し、宇宙活動がどの国際宇宙法の枠組内で運営されるべきなのかを調査することにあります。これらをつきつめれば、国家にまたがる大規模な宇宙開発の促進を図ると共に、宇宙開発の模範となるプログラムの像がみえてくることが期待されています。
専攻での活動は、セミナーが中心でした。国際連合および特別機関で批准された国際宇宙法も調査し、国際的な宇宙活動が直面している主な政策問題について考察しました。最終目標として設定された課題は、ボーイング・スペースコミュニケーションズ社に研究成果を発表することでした。そこで、「宇宙分野における技術移転問題および国際協力」という題目のもと、技術移転問題を解決し、宇宙産業における技術貿易を促進する提案の作成を試みました。
宇宙プロジェクトにおいて、国際協力を進めれば各国に利益がもたらされうるのは確かなことです。しかし、現在の規制環境において、軍事関連技術を取り扱う国際協力は困難であるのが現状です。例えば、国際法規として次のようなものなどが技術移転を規制しています。
- Missile Technology Control Regime (MTCR)
- Wasseaar Arrangement
また、米国は次のような厳しい輸出規制を行なっています。
- International Traffic in Arms Regulation (ITAR)
-Strom Thurman 1998 Defense Bill Rider
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