１年ほど前に、読売新聞社とブリティッシュ・カウンシルと共同して「国際小惑星監視プロジェクト」というものを行いました。これは、美星スペースガードセンターで撮影された画像を用いて小惑星探しを皆さんに行ってもらおうというものでした（「あすてろいど」33号、34号）。 このときには、かなり多くの皆さんに小惑星探しに挑戦していただきました。 　その後、この「国際小惑星監視プロジェクト」で使われたデータやソフトウエアは、関心のあるいくつかの国にも送られています。これは、ブリティッシュ・カウンシルが中心となって進められているInternational Schools' Observatory(ISO) というプロジェクトによるもので、小惑星探しがISOの１つのテーマとなっているのです。そして、この小惑星探しを実際に試みたイギリスの生徒が来日することになりました。 　イギリスの皆さんは、生徒（14歳）が3名と付き添いの大人が2名の合計5名です。生徒さんの名前は、Amy、Richard、Samです。それぞれ学校は異なりますが、イギリスのリバプールからの生徒さんたちです。このイギリスの皆さんは、3月23日に成田に着き、そのまま新倉敷まで来てもらいました。そして翌日の24日に、美星スペースガードセンターや美星天文台を見学してもらいました。このときには、まだ時差ぼけがあったようですが、さすがに天文に興味がある子供たちですから、望遠鏡や天体観測についていろいろな質問をしていました。この見学の時には、地元の美星中学校の生徒さんたちにも来てもらい一緒に見学をしてもらいました。なお、美星天文台の見学では台長の綾仁さんに案内をしていただきました。
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美星中学の生徒の皆さんとの集合写真 後ろの列の最も右が美星天文台の綾仁台長でその隣が美星中学の西浪先生	美星スペースガードセンターの制御室にて 右から、Gillian Owenさん（付き添い）、Richard Hearn君、 Philip Dugganさん（付き添い） Amy Higginsさん、 Sam Lombard君、 David Jacksonさん（美星中の英語の先生）、志村美和さん（ブリティッシュ・カウンシル）	美星中学にて、望遠鏡の遠隔操作実験の様子
そして、この日の夕方からは、今度は美星中学校に集まって、美星中からスペースガードセンターにある望遠鏡を制御して観測を行うという望遠鏡の遠隔操作の実験を行いました。このような試みをするのは、今回が初めてです。遠隔操作に不可欠なネットワークの設定などは寺薗さんに行ってもらい、観測者の１人である西山さんに実際の操作の手助けをしてもらいました。また、スペースガードセンター側でも観測者が待機していました。そして、イギリスと日本の生徒が順番にパソコンの前に座って、望遠鏡やカメラの操作を試みたのです。最初は単に望遠鏡を動かすことから始めて、次に実際に写真撮影を試みてみました。初めの数回は何も写らなかったのですが、そのうち星が写ってくるようなるとだんだん興味がわいてきます。プレアデス星団（すばる）も撮影して、星の周りにガスがある様子なども見ることができました。この観測には磯部理事長も同席して、望遠鏡の動かす時の注意をされたり星などについていろいろな説明をされました。 それで、いよいよ本格的に観測を始めようとしたとき、残念ながら空が一面雲で覆われてしまい、観測はそこまでとなったのです。 　観測が途中でできなくなってしまいましたので、余った時間でイギリスの生徒と美星中の生徒との交流会を行いました。交流会といっても、英語と日本語で互いに通じませんが、ブリティッシュ・カウンシルの志村さんに通訳をしていただきました。また、特に美星中の生徒さんたちの中には少し恥ずかしがってしまう生徒もいましたが、そこも志村さんの上手なリードで交流会が進められました。交流会では、互いの趣味や生活の様子の紹介などに加えて、美星中からはクラブ活動の報告などもありました。この美星中での観測や交流会には、美星天文台の川端さんや美星中で英語を教えているイギリス人のDavid Jacksonさん、そして美星中の理科の西浪先生にも協力していただきました。 　このように、この美星でのイベントはイギリスと日本の双方の子供たちにとって、有意義なものとなったことと思います。イギリスの皆さんは、この美星町でのイベントの後には、NASDA（つくば）でのイベントや日本天文学会（水戸）での発表をこなし、さらに数日間日本での滞在を楽しんで帰国されたようです。このような国際的な交流が今後もできればすばらしいことだと思います。
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交流会の様子
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