プラネタリウム番組・「小惑星−知られざる小さな星たち」

− 投映報告-2 −
根本しおみ(葛飾区郷土と天文の博物館)




(6)エンディング
解説者:もしも本当に地球にぶつかる小惑星が見つかったら、どうすればいいのか?それにはいろいろなアイディアがある。例えば、ロケットの力で小惑星の軌道をずらしてしまう。人類はすでにそれだけの技術を持っている。なるべく早く危険な小惑星を探してしまうことが大切。最後に、小惑星と人類の未来を紹介する。

ナレーション:日本がこれから打上げる予定のミューゼスCを紹介。地球に近づく小惑星を資源として利用できるようになるかも知れない。だとすれば、小惑星は人類が宇宙へ進出するためのパートナーになるかもしれない。私たちは、もっと小惑星に目を向けるべきであろう。
(この後、解説者が25分間ほど当日の夜の星空解説をして約1時間で投映終了。)

番組中、「解説者」とある部分は解説者が自分の言葉で話すところ、「ナレーション」とある部分は声優による録音を流すところです。全体に、まずクイズを出して、クイズの正解を説明する形で次のナレーションへつなげる、という形です。解説者が話すところでは、小惑星に関する最新のニュース(今年1月のニアミスなど)を入れたり、子供が多い時にはナレーションの補足をしたり、客層によって多少のアレンジをしますので、同じ番組でも毎回まったく同じ、ということはありません。時には、熱く語り過ぎて時間をオーバーしてしまうこともありました。

以下に、春休みに行ったお客様へのアンケート結果の一部を紹介します。
・性別
男性…42人(40.8%)
女性…61人(59.2%)

・年齢
10代未満…20人(20.2%)
10代 …22人(22.2%)
20代 …11人(11.1%)
30代 …20人(20.2%)
40代 …8 人( 8.1%)
50代 …9 人( 9.1%)
60代 …9 人( 9.1%)
70代以上…0 人( 0 %)

*春休み期間(3月30日?4月7日)にアンケートを行ったので、小・中学生とその親 御さんが多かったようです。

・番組「小惑星」について
よかった 91人(81.3%)
まあまあ 20人(17.9%)
よくなかった 1人( 0.9%)

「よかった」が80%以上という結果は当館の過去の番組のなかでも異例の高さだったそうです。
どこが「よかった」のか、という点では、
1)小惑星のことがよく分かった
(子供)・小惑星というものがあることを初めて知った。
・小惑星が地球にぶつかりそうであぶないことがわかった。
(大人)・小惑星の大きな写真が見られておもしろかった。
・小惑星の存在がそんなに最近わかったのか、ということを知った。
・今まで名前しか聞いた事がなかったが、今回で実態がわかった。

2)クイズが良かった
(子供)・クイズが楽しかった。
・クイズがもっと欲しい。
(大人)・写真とクイズのバランスが良く、最後まで飽きなかった。
・クイズがあったので番組に参加できてよかった。

というわけで、大人にも子供にもクイズが大人気でした。

さて、そのクイズの正解率ですが、(どの番号を何人が押したか、という結果が残っているシステムではないので、解説者の感想だけですが)初めて番組を見た人の正解率は半分以下だと思われます。問題を見ても、小惑星についてかなり興味がなければ知らないであろうことが多いので、こんなものだろうと思います。だからといって、「クイズが難しすぎてわからない。」と不満をおっしゃる方はいませんでした。ただ、おもしろいことに子供が多い時は正解率が上がります。どうやら子供にはリピーターが多いようで、クイズを目当てに何回か来るようです。(当館では学校が休みの土曜日は、小中学生は無料でプラネタリウムを見る事が出来ます。)

今回の番組の意図はクイズに正解してもらうことではなく、クイズで興味を引きつけておいて解説をより印象深く聞いてもらう、ということなので、「クイズが楽しかった」→「小惑星の事がよく分った」というお客様のアンケート結果はこちらのねらい通りで、番組として成功した、と言えるかもしれません。プラネタリウムを見に来る一般のお客様は、小惑星に関しては「世の中にはそういうものがあるらしい。」程度の認識があるだけです。番組を見て、「楽しかった、勉強になった。」という感想を書いていただけたということは、小惑星に対して多少の知識と良い印象を持っていただけたことではないかと思っています。あとは、この番組を見たお客様が小惑星を正しく理解して、ひいてはJSGAの活動を支援してくださる方が増えればなぁ、と祈るのみです。
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