ASTEROID
The Journal of Japan Spaceguard Association
Vol. 11, No. 4 November 2002, Founded in May 1992.
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図2に接近の様子を示します。
今まで観測された中で最も接近したものは、1994年の1994 XM1 で、接近距離は10万5千kmでした。今回の接近はこれに次ぐものですが、1994 XM1は大きさが10m程度と推定されるのに対して、今回接近した2002 MNは大きさが100m程度とかなり大きくなっています。
1908年に「ツングースカ大爆発」というものがシベリアで起こりました。この時は、2000平方kmにもわたる森林がなぎ倒されたといいますが、この爆発をもたらしたものは直径が70mくらいの天体だったという説が有力です。仮に2002 MN が地球に衝突していたとすると、ツングースカ大爆発の再来となったかもしれません。
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図2 2002 MNが地球に接近したときの様子
左は黄道面に投影したもので、右はが黄道面に垂直な面に投影したものである。
中心の○に+を重ねて描いたものが地球である(ただし、その大きさは正確でない)。地球を通る線が地球の軌道で、この図では地球は左から右に動く。*印が付いた軌道が小惑星の軌道であり、*印は0.1日(2.4時間)おきの小惑星の位置を示している。なお、小惑星軌道上の○は最接近時の小惑星の位置である。また、円軌道は月の軌道を示している(●が月の位置)。左の図で、地球からでている点線は太陽の方向を示す。
2 小惑星2002 NT7、2019年に地球衝突?
2002年の7月23日くらいから、2019年に小惑星が地球に衝突する可能性があるというニュースが流れだしました。この小惑星は、2002 NT7という仮符号が付いた小惑星で、 2002年7月9日にLINEARプロジェクトによって発見されたものです。発見時の等級は18等ほどですが、その絶対等級は16.3等に相当するということです。この絶対等級を大きさに換算すると、直径が約2kmとなります。
ニュースでは、軌道計算によるとこの小惑星が2019年2月1日に地球に衝突する可能性があるというのです。その衝突確率は、JPL(ジェット推進研究所)によると20万分の1程度ということでした。ただし、この時点での軌道は発見されてから2週間程度しか経っていないものでしたからまだ精度が悪いものでした。案の定、8月初めのJPLの発表で、今後100年間はその地球衝突の可能性は無いということになりました。
このように衝突の可能性が発表されてはすぐに否定されるということがまた繰り返されてしまったわけです。ここでは2002 NT7の軌道が決定されていくに従って地球との接近の様子がどの ように変わるのかを見てみましょう。
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