ASTEROID
The Journal of Japan Spaceguard Association
Vol. 11, No. 4 November 2002, Founded in May 1992.
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このような環境の大変化を起こす原因は何であろうか。それは、小惑星の地球への衝突である。中生代の終わりの6500万年前には直径 10km相当の小惑星がメキシコのユカタン半島に落下した。その落下地点には直径180kmものクレータが作られ、1991年に地中に埋まっているのが発見されている。
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図5 各年代の境界では、生命種の大きな変化が起こっている。
小惑星衝突があると、直接的な災害に加えて衝突によって巻き上げられた微粒子が太陽の光を隠し、全世界が零下になり、食物生産が止まり、生物種の多くは滅びた。次には、吹き上げられたガス中に含まれている二酸化炭素ガスによって温暖化し、世界中が灼熱地獄となる。このような環境の大変化に生き延びた生命種のみが、次の時代の空いた地上の空間で大きく進化できるのである。
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図6 過去5億5千万年の間の生命種の絶滅の割合

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表2  小惑星が毎秒20kmの速度で地球に衝突するときに開放されるエネルギー量
5 おわりに
宇宙の150億年の歴史の中にあった3種類の大爆発によって、ようやく人類が存在できるようになった。特に小惑星衝突爆発による前世代に繁栄した生命種の絶滅は、次の世代の多様な生命種へと進化し、その中から新しい支配者が誕生してくる。現在の人類は、生命種 の 断絶平衡進化の最後の頂点に達している。
現在でも、小惑星は地球に衝突する可能性はある。そして、次の衝突爆発が起これば、文明世界に浸り、軟弱になった人類が絶滅する番になる。それは、これまでのように地球上の生命種にとっては、その進化を促し、より発展した生命種を生み出すチャンスかもしれない。しかし、人類は滅びるのである。
この地球上に出現した生命種の中で、人類はそのような危険性を認識した最初の生命種である。そして、そのような衝突を避けるためには何をするべきかも徐々に明らかになってきた。
せっかく与えられた人類の存続のために小惑星衝突問題を解決する努力がなされている。そのための活動をしている日本の組織が日本スペースガード協会である。
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図7 講演会の様子
本稿は、2002年9月1日に開催された日本耳鼻咽喉医会鳴門大会及び2002年9月28日に開催された東大阪市児童文化スポーツセンター・ドリーム21「公開講演会」で話した内容を整理しまとめたものである。
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