ASTEROID
The Journal of Japan Spaceguard Association
Vol. 11, No. 4 November 2002, Founded in May 1992.
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ニュースSpace Debris and Asteroids
惑星協会によるNEA観測活動支援
カール・セーガンが創設した惑星協会はNEA問題にも強い関心を示し、その基金からNEA観測活動を進めているチームに毎年奨励賞を出して、支援している。今年度は、5つのチームに総額28,290ドルの支援が行われた。
受賞者は、オーストラリアのリーディ・クリーク天文台のジョン・ブロートン、フランス・ルクセンブルグのコート・デ・ムーセ天文台、レーザー天文台のマット・ダウソン、アメリカ・フロリダのリチャード・コワルスキー、アメリカ・アリゾナのグラスランド天文台のジェームス・マックゲイハ、それにアメリカ・アリゾナのロイ・タッカーの5チームであった。このうち、ダウソンとマックゲイハは純粋のアマチュア天文家である。
13カ国37チームからの候補者があり、そこから5チームが選ばれている。惑星協会では、シューメーカNEO賞として、今後とも毎年、支援する予定である。
日本スペースガード協会もたった1件ではあるが、同様の支援活動を行おうとしている。しかし、昨年度は、残念ながら、応募者がなかった。ぜひ、関係する方々は応募してほしいと思っている。

SLOAN全天掃索数値望遠鏡の成果
日本の東京大学のチームも参加しているSLOAN望遠鏡が観測を初めて4年になる。口径2.4m望遠鏡に視野3度に広がる範囲に2k×2kのCCDを25個並べて24−25等級の天体を全検出しようとするプロジェクトである。チームの主な目的天体はクェーサーや銀河の検出で、一方向に1回だけの観測である。しかし、露出時間が5分と長いので、小惑星は点像ではなく伸びた像になっていて、検出可能であった。
チームに参加したプリンストン大学のゼリフ・アイベチック等5人は、2001年12月5日までのデータをまとめた小惑星カタログを作った。そこでは、58,117個の小惑星の位置データが示され、10,592個の軌道既知の小惑星が含まれていた。
SLOAN望遠鏡は5つの波長での同時観測であり、小惑星の表面物質と軌道の間の関係を調べることができる。その成果の論文は最近発表されたので、次号で美星スペースガードセンター観測員の黒田氏が紹介してくれるものと考えている。
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SOHO望遠鏡の500番目の彗星を発見
太陽活動の地球への影響を監視するために、アメリカが打ち上げたSOHO(Solar and Heliospheric Observatory:太陽及び太陽周辺観測天文台)衛星がある。太陽コロナから太陽系空間に広がる淡い光の直接像を得るカメラも搭載されている。
小惑星に比べて、彗星の発見はなかなか難しく、SOHOでの500個の発見を含めてまだ1,256個しか見つかっていない。彗星は細長い長楕円の軌道を持っていて、しかも軌道傾斜角が大きいために地球の軌道より内側に入る時も地球にあまり近づかなく、暗くて検出が難しい。彗星本体の明るさも太陽の光を受けてコマが広がるために太陽に近づくと急激に明るさを増す。このため、彗星が太陽に接近した時に発見しやすくなるのである。
SOHOのシステムは、この意味では理想的である。そして、その観測開始以後、次々と発見してきた。そして、ついに2002年8月12日に記念すべき500番目が発見されたのである。
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