ASTEROID
The Journal of Japan Spaceguard Association
Vol. 11, No. 4 November 2002, Founded in May 1992.
目 次前ページ次ページ
BSGC レポート
バーベキューパーティー
9月5日、美星スペースガードセンターで観測員によるバーベキューパーティーが開催されました。大島観測員の準備で、滞在中のアッシャー氏や西山広太観測員のご家族も加わりました。メインは、美星牛と橋本観測員の勧めによるバナナ焼きの珍味です。
観測者の福利厚生の一環としての企画で、秋の観測シーズンに入る直前の楽しい一時でした。
49KB
東亜天文学会から天体発見賞受理
10月26日、姫路科学館に於て、東亜天文学会の総会が開催されました。この中で、天体発見賞の表彰をうけました。これは、美星スペースガードセンターで発見したBATTERS彗星(C/2001W2)の発見によるものです。授賞式では、浅見敦夫観測員が代表して表彰を受け取りました。今年春に天文学会からも天体発見賞を受理しているので、これに次ぐ、2回目の受賞となりました。

美星スペースガードセンター便り
美星スペースガードセンターでは、0.5m望遠鏡と1m望遠鏡の2台の望遠鏡を調整しながら観測するという大変な作業を続けている。最大の問題点は、理論的に計算される極限等級にまで達しないことである。20等級星の場合、0.5m望遠鏡による露出時間60秒で検出できるはずであるが、17等星程度が限界であった。スカイ(夜空の暗い部分)レベルが高いのが問題となった。F比が1.95と明るいので、横方向からの入射散乱光が多い可能性があったので、トラス構造(主鏡と副鏡の間を数本の棒で支える構造)の柱全体の鏡筒を包むように黒い厚紙で覆いをした。また、CCD素子の感度ムラを補正するために、一様な光源を作って、その光源を撮像して、そのデータを目的の画像に対して補正を行ったりした。そして、結果的にはようやく19等星までがなんとか識別できるようになってきた。あとは星像をもう少しシャープにすることなど、いくつかの項目の試みを行って、理論値により近づける努力を続けている。
スペースデブリの観測では、掃天観測の手法を決めるための作業を始めた。これまでは既知の人工衛星等を観測してどの程度の精度で軌道が決定できるかの実験を宇宙開発事業団の担当者と協力して行ってきた。これからは、いよいよ未知のスペースデブリを検出してその軌道を決定する作業である。デブリを1個見つけてその軌道決定をするのであれば、そのデブリを続けて追跡観測すれば軌道が決定できるので話は簡単である。しかし、センターの望遠鏡は世界最大の視野(CCDカメラ付きのものでは)を持つので、1つの視野内に複数(多数)のデブリが検出され、それぞれが異なった方向に動くのが一般的なケースである。それら全てを逃すことなく、時間的になるべく有効に追跡・軌道決定するには、観測の手順に工夫が必要になってくる。
センターでのフル稼働の観測は遅れ遅れになってきている。しかし、フル稼働を目指した積み重ねが次々と行われている。センターのスタッフはこのような地味な仕事を我慢強く進めているのである。
目 次前ページ次ページ